衣笠彰梧
KADOKAWA (2019-01-25)
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ようこそ実力至上主義の教室へ 10 巻 感想です。
3学期の期末試験を無事乗り越えた1年生たちは、春休みまで残すところ最後の特別試験だけという状況だった。
ところが、この時点で退学者がゼロという前代未聞の好成績を重く受け止めた学校側により、臨時の特別試験が追加実施されることに。
教員側も困惑のこの試験はクラスから一人退学になるべき生徒を選ぶという不条理で非情なもの。
こんな試験を理事長であるあの坂柳の父が許可するのか疑問に思ったが、これからの敵は同じ生徒だけとは限らないということでますます面白くなりそうだった。理事長を失脚させてまで特定の生徒を退学に追い込もうとするのがとても凶悪な敵。
誰かを切り捨てるこの試験のルールは簡単。一人三票ずつ持っている評価票と批判票をそれぞれクラスの誰かに投票し、その結果評価票-批判票の数が最も少なかった人が退学。また、一人一票ずつクラス外の人にも評価票を入れることができるというもの。
シンプルすぎて裏技が無い中、各クラスの性格が出ていたのも面白かった物語。
Aクラスは坂柳の一存で決め、Bクラスは退学取り消すを買うことを考え、Cクラスは平和主義の平田の精神が崩壊するほど追い詰められ、Dクラスは嫌われ者の龍園がやり玉。
坂柳によって指名された葛城は退学を受け入れるが、最後の投票結果は坂柳の黒さが出る意外なもので、この結果によって葛城が再び立ち上がりそう。
Bクラスは退学を退けるポイントが不足する中、南雲会長は一ノ瀬に交際を条件にポイントを融資しようとしていた。一ノ瀬にしてみればこんな屈辱は受け入れがたい。でもここは主人公が活躍した。ここで一ノ瀬に借りを作ったのは大きいことだろう。
Dクラスは龍園以外を退学させるのが難しい状況の中ここも綾小路が活躍したし、龍園も同じ手を思いついていたのはやっぱりやっかいな相手という感じだった。龍園でさえ龍園の退学を阻止したいと願う友達ができていることも意外性がある。
Cクラスは坂柳の傀儡となっていた山内が綾小路を退学に追い込もうとしていたが、坂柳の裏切りとCクラスを裏切ったことがバレたため自業自得の結果に。今回も綾小路の手のひらで動く堀北が優秀だった。
Cクラスも高円寺一択の中、よくも荒れたと思う。心挫けた平田は今後復活したら便りになりそう。
そして高円寺が今回クラスのためにわずかながら動いたのはフラグであると信じたい展開。
一ノ瀬と交際できるつもりでできなかった南雲会長だが、きっと何者かが一ノ瀬を助けたと考えるだろう。それが次の物語かも。あと堀北兄は南雲に敗北してAクラスで卒業できない気がした。
新たな敵も登場して一年生最後の特別試験これまでで一番面白い試験であることを期待する。
個人的な評価★★★★☆
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