支倉 凍砂
アスキーメディアワークス
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前回、デバウ商会のやろうとしていることに気付いたロレンスは商人としての夢だった店を購入し順風満帆だった。
ところが最後にコルの手荷物を持った男が二人の前に現れ、コルの身に何が?というところで終わった。
16巻はその続きからだった。
その男
ヒルデとはデバウ商会のナンバー2で人間ではなくホロのようにウサギの化身だった。コルの荷物を見せたのはデバウ商会のピンチに二人の力を貸してもらうため仕方のない行動であった。
デバウ商会の
デバウと、ヒルデは共にデバウ商会を大きくしてきたがここに来てデバウやヒルデ派とその他で内部分裂していた。
現在デバウ商会は儲かり過ぎていて鉱物を得るためにクーデター組は北の地を争うと考えていて、一方デバウやヒルデはそれが嫌で、現在ある鉱山から鉱物をさらに掘る方法が記されている禁書を求めロレンスたちに接触したのであった。
ホロとロレンスのように人間と動物が組んでいる存在はここに来て初登場だと思う。だがかなりやり手の商人がうさぎというのが面白い。大きさも普通だしw
ロレンスは禁書の引き渡しを承諾しホロは一人でコルやル・ロウの元に向かった。
しかしその隙に造反組は行動を起こし、デバウ商会は掌握されてしまった。デバウも監禁されウサギになれるヒルデのみロレンスに助けを求めてきた。
ロレンスはヒルデの頼みを聞き入れず怪我をしているヒルデとともに、ミューリ傭兵団に合流し南に逃げることにした。せっかく手に入れた店も早くも売ってしまったことがショックだった。
16巻はかなり分厚い一冊になっているけどここまであまりページを消費していなかったから、こんなにあっさり平和が訪れるとは考えていなかった。
予想は当りヒルデは、手紙を残してきたと呟いた。もしデバウ商会に残した手紙にミューリ傭兵団のことが書かれていれば、デバウ商会の敵とみなされ追手が来て少人数のミューリ傭兵団は全滅してしまう。
それを防ぐにはヒルデに協力してもらえる町がある北の小道で地の利を活かすしかないという流れになってしまった。
ヒルデはもう叶わぬ夢にすがっているように描かれていたけど、ここに来て誰もが感服するくらい頭のいい作戦を使ってくるところがこざかしい。
ミューリ傭兵団は仕方なく、追手の相手をするために北に向かった。その途中ロレンスの荷車を捨てなければならなかったことが残念い思う。1巻からのパートナーであったのに。
でも北に向かうとやってきた追手とのやりとりは見物だったw
この世界における傭兵はロレンス目線で金のためならなんでもする連中として描かれているが、ミューリ傭兵団にとってはそうではなく傭兵は同業である傭兵を襲わないそうだ。
だから、ミューリ傭兵団と追手の傭兵団は戦っているフリをして、茶番を繰り広げ適当に戦闘を止める手はずになり、追手の傭兵団からもその打ち合わせのための使者がくるほどだったw
それを知らないのはデバウ商会の愚かな目付け役だけだった。追手の傭兵団は茶番を繰り広げるだけで金が貰える楽な仕事となるだろう。
緊迫した雰囲気だったのにこの茶番劇がすごく面白かった。そうしているうちにホロも今更ながら禁書を持って合流。ロレンスといちゃつく場面もあった。
ところがミューリ傭兵団と追手の最後の終戦協定時、事件は起きた。追手の傭兵団がミューリを裏切ったのだった。なんでも一生遊んで暮らせるほどの金を積まれたらしい…
この作品らしいけど、狼モードのホロが助けてくれなかったら完全に詰んでいた。助けてくれても怪我人多数で団長のルワードは瀕死であった。これで一気に雲行きが怪しくなった…
その後ヒルデが助けてくれるだとうと踏んでいた町に逃げ込むが、そこでも
ミリケという町を治める者が頭のキレるやつでヒルデにとっては絶望的な状況になった。
すごい商人であるあずのヒルデがすごくしょぼく見えた。でも住民の心を掌握したところはすごいと思った。
ミリケは半分ホロ達と同じような存在半分人間らしく、ホロやヒルデの正体も見破った。
ミリケのこの設定は何かのフラグに思えるねw
ヒルデを売ろうとするミリケだが、ヒルデの話にやれるもんならやってみろと多少の猶予が与えらた。
ヒルデはデバウ商会の会計を担当していたため、もうデバウ商会に金がないことを知っていて、町の市壁を閉じて交渉の場に持っていけば迫ってきている千人部隊の維持費に圧迫され譲歩案出させるという作戦を行うことにした。
微妙に光が見えるが、ここまで読んで様々な失敗を見ているとダメなように思えた。
そしてデバウ商会から使者が来てヒルデが交渉することになった、ヒルデはデバウ商会の作戦にまんまとはめられてしまいどうすることもできなかった。デバウが登場以来まったくいいところを見せないのが悲しい。応援したくなるような人物ではあるのに。
デバウ商会の金に物を言わせた強引なやり方にロレンスは怒っていたが、どうすることもできない。
だが絶望の淵に居たロレンスは床に落ちたコルの持ち物の騙された紙切れを見てデバウ商会の不正の可能性に気付いた。さらにホロのヒントで核心にいたった。
まるでカイジを読んでいるような快進撃で、分厚い16巻のほとんどで絶望を描きながら、残り僅かなページでのこの快進撃は爽快だった。
いいところを持って行くロレンスがかっこ良かったし、それを支えるホロも仲睦まじかった。
ロレンスの活躍でおそらくすべて解決。ヒルデは最後までいいところなかったね…。
二人はこの先ヨイツに向かってその後結婚するんだろうけど、16巻これで終わり。そして完結。
正直物足りない。
ヨイツもニョッヒラも月を狩る熊も登場しなかった。コルたちのその後も気になる。ロレンスの商人としてのその後も。
エピローグを新刊として出すならそっちを最終章と言ったらいいと思うが、エピローグにはロレンスのピンチや話の山がないからだろうか?
でも「狼と香辛料」という作品は好きだし、エピローグも期待している。16巻は分厚かったからエピローグは入れたくても入れれなかったと前向きに考えよう。
そして支倉氏の新作も面白そうならぜひとも読みたい!
個人的な評価★★★★☆
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17巻が夏に発売するそうですよ