佐島 勤
KADOKAWA (2017-06-09)
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魔法科高校の劣等生 22巻 感想です。
前回、一般市民の反魔法師の動きをどうにかしようと十師族の若手が集まって会議が行われたが、そこで七草家から出された四葉家の深雪を広告塔にするというプランを達也は断固拒否。なおかつその後の食事も拒否したことにより、十師族から協調性のない奴だという誹りを受けることになってしまった。
とは言え、達也と深雪をよく知る個人レベルでは、広告塔をやることにより過激派組織に狙われるリスクがあることは自明なため、そんな提案を出した七草家の方が悪いという認識を持つ達也擁護派もいて、プライベートでの知り合いレベルでは完全孤立ではなく少し安心した。
達也が食事会を断って深雪と合流し向かった先は四葉本家。そこには分家の代表も集まっており様々な報告がなされた。
魔法師無効化魔法の「ゲートキーパー」の四葉家内での共有、トゥーマン・ボンバ対策などの他今回の会議についても。今回の会議で達也が他の十師族や師補十八家に非協力的な態度を取ったことは真夜により評価された。
四葉は他の十師族と共に歩まなくても単独でやっていけるという意味だし、ゲートキーパーなんて魔法の共有や戦略級魔法の攻略を考えたり戦力強化が怖いことになっていた。
エリカは侍郎を徹底的にしごいていて一見姉御肌に見えたが、エリカをよく知るレオや幹彦はらしくないと心配していた。
幹彦の考えでは兄の仇を討とうとしているのではと推測していた。犯人は既に死亡しているため対象は傀儡と化した兄の最期を看取った達也。もちろん命を取るのではなく一本を取るという意味らしいが。
この仲良し組との軋轢は不穏な空気を感じるね。
学校側でも達也は深雪以外には冷血だという意見があり、どこまでも達也の孤立が付きまとう展開となっていた。
そんな最中、今回の敵、「
遠山つかさ」の暗躍が始まった。遠山つかさの本名は十山つかさ。師補十八家の一員。十山家は自分の家の利益のためなら他の十師族を犠牲にしてもかまわないと考える家で、しかも軍の情報部とはずぶずぶの関係であった。むしろ実権を握っているくらい。
得意魔法は十文字家と同じく障壁魔法だが、十文字家が都市防衛に対して、十山家は要人警護用の個人向け障壁魔法。一般市民より政治家を守るという後ろめたい役割から十師族にはなれない立場にあった。
でも国あっての十山家であり、そのために今回遠山つかさは十師族に非協力的な四葉家をリスクと考え、次期当主の婚約者の実力を調べるためにちょっかいを出してしまった。しかも深雪まで巻き込んでしまったからお察しの展開が待っていた。
まずはマテリアル・バーストを放った魔法師を非合法に調査していたスターズはつかさ率いる情報部により全員逮捕。これは正当な逮捕で問題ないが、つかさは逮捕したスターズを全員ではないが非人道的な洗脳をして傀儡としてしまった。この傀儡を使って達也と深雪を襲撃。
また詩奈を騙し狂言誘拐をし、三矢家にも断れない要求をして達也が行動する舞台まで作り上げて彼を調査しようとした。
ところがこれに関して達也は警察の仕事だと一切動かなかった。これによって達也はまた仲間から孤立路線。
お兄様はあまりにも深雪以外に興味がなさすぎる。
生徒会の仲間が攫われたのにこのクールな対応。十文字克人からも呆れられるくらいだから、今後が心配だ。
その後帰宅した達也には真夜から捕らわれのスターズを救出するよう指令が下った。達也にとっては深雪にちょっかいを出した敵と戦えるから一石二鳥な司令だ。
スターズが捕まっている施設は非合法な人体実験場。つかさも非合法なことをやっていた証拠を報告されたくないからスターズは全員処分する気満々。
つかさは得意の個人障壁魔法を兵士に施し侵入者に向かわせたがトライデントによりその障壁は剥されどんどん無力化されていった。でも障壁を張り直すスピードより達也の分解が早かっただけというのが少しもどかしかった。
得意の障壁魔法が通じなかったことで焦るつかさは、今回安全圏から上から目線で達也テストしていたから悪党の最後に相応しかった。
スターズは無事救出し、達也は膝をつくつかさの前に立っていた。
今にも分解されそうなつかさを助けたのは障壁魔法ファランクス。ファランクスに分解が通じない描写はこれが初めてか?
克人直々に同じ十の数字を持つつかさを助けにきたのだった。
達也は克人の登場に身を引いたが、どうして引いたのかまでは描かれていなかった。
専用アタッチメントが必要なバリオン・ランスを携えていなかったのか、それとも知り合いである克人の顔を立てたのか…
つかさは命を救ってくれた克人に感謝し、あなたなら彼に勝てると言っていた。
つかさは達也が障壁を一枚一枚壊すことで本体を攻撃しようとしていたところしか見ていないからそう思うんだろう。バリオン・ランスの存在なんて知る由もないし。
そもそも魔法に距離は関係なく、達也は遠方にいる敵を分解したりしているから、たとえ目の前に壁があったり密室状にファランクスが展開されてても分解できるのではと思ってしまうが、きっとファランクスにはまだ隠された性能があるのだろう。
でもこれは達也が克人と戦うフラグなんだろうかね。バリオン・ランスなんて魔法もあからさまにファランクス対策っぽいし。
次回の副題は「孤立編」になるらしい。今回でも十分に孤立路線だっけどまだまだ序の口ということだろうか。
個人的な評価★★★☆☆
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