衣笠彰梧
KADOKAWA (2017-05-25)
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ようこそ実力至上主義の教室へ 6巻 感想
アニメ化が決定した。この面白さならアニメ化すると思っていたから実現して嬉しい。円盤買うかはさすがに見てから判断する。
さて、今回の物語は体育祭が終わり期末テストが迫る中、次の物語のために一服といった内容だった。色々と新たな動きがあって今後の物語はこれまでとは打って変わって違ってくるんだろうなと感じた。
生徒会は生徒会長堀北(兄)が任期満了で交代となり、新たに南雲が新たに就任。その南雲はさっそく任期を無期限にして役員の人数制限も撤廃し、まるで独裁者のような生徒会運営を始めようとしていた。
生徒会長に就任するまではしたたかにしていたようにしか思えない。
綾小路は体育祭での活躍で注目が集まりこれまでのクラスの目立たない一生徒というポジションではなくなっていた。隠していた才能を表に出したためこれまでつるんでいた持たざる者池たちとは疎遠になっていた。そんな感じでいきなり人間関係が変わったw
また、体育祭での活躍によって、クラスメイトの佐藤という女子生徒に連絡先を聞かれ熱烈なアプローチもされほぼ告白されたも同然の状態になっていた。
それを気にする軽井沢もどうやら綾小路のことが気になっているらしく、前々からの佐倉もそうだしラノベの主人公らしくなってきたと言える。
それで今回の特別試験は期末テスト。ただし変則的なルールがある。
・学校側が決めたペアで試験を受け、その合計点が基準点に満たなかった場合は二人そろって退学。
・そのペアは事前の小テストの結果で決定する。
・テストの問題は生徒たち自らが作成し指定しマッチングした他クラスへ出題する。
・指定クラスが被った場合はクジで決定。
・マッチングしたクラス同士テストの合計点が高いクラスにはポイントが与えられる。
こんな感じでわかりやすくクラス同士で直接対決できる期末テストとなっていた。対戦相手もA&BとC&Dという理想の結果に。
こうして始まった龍園率いるCクラスとの対決が始まった。
小テストの結果によるペア決めは特にひねりもなく成績上位者と下位者を順番に組ませるというもの。これくらいの仕様はあっさり見抜くDクラスは無事予定通りのペアを組むことに成功していた。
綾小路のペアは偶然佐藤。でも佐藤の存在はこれからの物語っぽい。
今回の期末テストへの対策では堀北が積極的に協調性を以て動いていて、体育祭を通して大きく成長したと感じさせる場面が多かった。
平田にも勝るとも劣らないリーダシップを発揮していた。問題児だった須藤もすっかり丸くなって今やスポーツ面では大きな戦力だ。
龍園は綾小路の手駒となっている裏切り者を見つけ出し、Dクラスの黒幕探しを本格的にスタート。何やら秘めたる能力を持つ「
ひより」という女子生徒を連れて綾小路たちにも接触してきた。
このひよりはきっとDクラスの新たな戦力なんだろう。特殊能力持ちはやっかいそうだ。
Dクラスは勉強会をすることになり、ここまでの物語で消極的だった幸村が積極的に指導役を買って出て成長したのは堀北だけじゃないと明らかになった。Dクラス全体が一致団結して成長していた。
幸村が教えるのは孤高組の男子生徒の三宅と女子生徒の長谷部。たぶんここまで登場してなかったから新キャラだ。そこに調整役の綾小路も加わり、後に佐倉も追加で新たなグループが作られた。
これまで綾小路たちがつるんできた池たちとは完全に離反し今後の物語はこの5人で進むんだろう。
だが厄介なのはDクラスの裏切り者の櫛田。今回櫛田の過去や本性も明らかになった。
櫛田は他人からの羨望や信頼を感じることが大好きで、人一倍自己承認欲求が強い人間だった。だから中学時代から嫌いな人や気持ち悪いと感じる人とでも多大なストレスを感じながらも優しい聖人君子を演じて来たそうだ。
そしてそのストレスの吐き口として個人ブログで悪口を言っていたが、匿名とは言えそれはクラスの当事者が見れば一目瞭然だったため櫛田は中学3年時に皆から敵視されてしまった。
そこで櫛田が取った手は信頼されているが故に知っているクラスメイトの個人情報の暴露。それにより学級崩壊し櫛田にも黒歴史を刻んだのだった。
その事実を知っている可能性があると堀北を退学させようと躍起になる櫛田に、堀北は期末テストで櫛田が指定した一科目の得点で勝負し、櫛田が勝てば堀北と綾小路は自主退学。堀北が勝てば今後堀北の邪魔はしないという賭けをすることになった。証人として堀北(兄)を連れてきてまで。
今回Bクラスは直接物語には関わってこないが、お人よしな一之瀬にも闇があるような描写があった。皆思うような善人ではないらしい。そのことを綾小路も把握していて、まるで龍園のやり方のように行動を起こしていたとわかったときは面白かった。
勉強会の結果は上出来で対Cクラスのためのテスト問題も完成して茶柱先生へと提出に向かった。そして途中待ち伏せしていた龍園の目の前で提出することになった。
提出の際に今後他の誰が来ても中身は見せないようにとお願いし、体育祭のときのオーダーの失敗から学んだところも見せた。さらに、事前に誰かが提出しているのではという予想までしてすでに櫛田が提出済みという事実まで突き止めた。
先に提出した櫛田の問題が採用されれば、繋がっているCクラスに必負。龍園もこの状況にご満悦。綾小路もこの状況に焦る始末。櫛田はこの裏切りでDクラスを勝たせる代わりに堀北との個人的な勝負では勝つ作戦。
でもこの事態も堀北は想定済みで櫛田よりも早く行動を起こし茶柱先生と一緒に演技までして問題のすり替えを封じていた。堀北が龍園に一矢報いたのは気分がいい展開。綾小路よりも上の作戦を成功させたし。
そして期末テストは努力が実り皆手ごたえを感じていた。一方で櫛田は龍園から偽の情報を掴まされ堀北との勝負には敗北。Cクラスとの勝負でもDクラスが勝利して下剋上にリーチをかけていた。
櫛田は今後堀北の邪魔はしないと約束したが、綾小路は別だと語り、綾小路は櫛田がずっとは約束を守らないだろうと感じていた。今や櫛田はかつての須藤より邪魔者だ。真の意味で味方になってくれるときは来るのだろうか。
櫛田は龍園に詰め寄るが、逆に退学の危機から助けてやったと言われていた。櫛田の制服には何者かによりCクラスが作った問題のカンニングペーパーが仕掛けられていて、それを指摘されたら危ないところだった。
やったのは綾小路だろう。これは警告なのか本気なのか…
龍園はDクラスの黒幕から取引を持ちかけられ、その結果櫛田を陥れることになったそうだ。その代わりすり替えが失敗していることを教えてもらい何とか退学者を出さないところで踏みとどまることに成功していた。
これはまだ前哨戦で、綾小路も龍園を完敗させるために本気を出すようだ。それはすなわちクラスのランクアップな気がする。
色々なキャラが様々な思惑を持ってうじゃうじゃ動いていて面白かった。今回の物語は嵐の前の静けさがあるそだが、これでまだそんなレベルだなんて、次はいったいどんな嵐が来るのだろうか。
個人的な評価★★★★☆
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