成田 良悟
KADOKAWA (2017-04-08)
売り上げランキング: 8
Fate/strange Fake 4巻 感想
作者が13陣営全てを丁寧に描こうとしているのが伝わってくるほど濃い内容だった。一冊でこれは贅沢。
3巻の終わりでアルケイデス相手にジャックが宝具を発動したところで終わったが、4巻ではどうしてその戦闘が始まったかが描かれ、結果的にほぼ巻末の方で再びこのシーンが描かれていた。
真バーサーカーを召喚した魔術師の見た目がはかない感じの少女だったのは意外だった。危ないところをアインツベルンのホムンクルスに憑依した何かによって助けられ、聖杯戦争で勝ち抜くための手助けを得ることになった。
そして最初に向かった先がバズディロットとアルケイデスの魔術工房。敵陣のホームグラウンドである魔術工房で戦闘することの厄介さも描かれていた。
この戦闘ではサーヴァントの相手を普通にできるホムンクルスの「フィリア」に憑依した何かの力がすごかった。この正体は女神イシュタルっぽいね。ということはギルガメッシュとも因縁があるからこの先も楽しみ。まぁ無邪気な凶悪さも見えたけど。
バーサーカーもイシュタルの力で強化され元の英霊がわからない怪獣になっていたw
この戦いを止めたのはフランソワ・プレラーティ。宝具も使ってどうにか戦いは収まった。
偽アサシンと、セイバー、ウォッチャー陣営は合流して休戦協定を結んでいた。ウォッチャーは町のことならどんな密談の内容も知っているからとても便利だと思った。
偽アサシンがシグマの境遇に普通に同情してたのは印象に残るシーンで、この二人なら真っ当なマスターとサーヴァントの関係を築けたかもと思った。
偽アサシンはマスターから魔力供給を嫌がり、リチャードの仲間の魔術師から魔力を貰っているのは熱意を感じたw
シグマは本来の雇い主含め、自分が召喚した英霊は喜劇王チャップリンをランサークラスでと公表したのは喜劇的だった。そりゃ疑われる。
デュマはクラン・カラティンのメンバーと直接会って腕を失った警官に特別な義手を与えて、その活躍を応援していた。デュマがオーランド以外と会話するのは初めてだろう。豪快に語る雰囲気から兄貴肌ぽかった。
今回の物語の主役はたぶんフラット。
2000年血は続くが魔術の実績はないエスカルドス家に生まれた奇跡的な天才だが、天才すぎて親に殺されそうになり、捨てられるように時計塔にやってきても講師たちは魔術師として何かが欠けているフラットの育成に匙を投げていた。
そんな中、エルメロイ二世だけは見捨てず真摯に向き合い、フラットもエルメロイ二世を信頼してその影響を受けて善人として成長していた。フラットのためにエルメロイ二世が大事にしているイスカンダルの触媒を賭けのテーブルに置いたのもでかい。
ジャックは今回もアサシンの水着少女に変身し、解体したくなる衝動にかられたりしていた。その姿を見た暗殺者集団の「ツークツワンク」が何故か震えたってのはFate/Apocryphaに由来しているようだ。最近コミカライズもされてるみたいだし、今度買ってみるべきかもしれない。
その後返信した英国貴族風の人物はこれも元ネタがあるのだろうか。アサシンの姿同様落ち着くし、魂を穢したい衝動にかれれると言っていたけど。
ジャックは現在凶化が反転して冷静なバーサーカーになっているが、もしもその変身した姿の衝動に駆られて理性を失うようなら令呪で自害させてくれとお願いしていて、なんだかフラグに思えた…
フラットは警察署長室まで進入してオーランドと直接面会までした。5秒で結界をハッキングしたり、魔術回路を封印したり何でもありの魔術師だった。
フラットの目的はペイルライダーのマスター椿を救うこと。現在死徒にも夢の中に進入されている。そのための共闘。これにはエルメロイ二世も分析の分野で協力していて、話だけでほぼ正確にサーヴァントの正体を見抜いたのはすごかった。
そしてやっと3巻の最後のところへ繋がる。
病院へやってきたクラン・カラティンとジャック。クラン・カラティンの中にいるバズディロットのスパイの情報経由でやってきたアルケイデス。それを見下ろす死徒。こうして戦闘は始まった。ちなみにティーネ陣営にもスパイがいて、ティーネは気づいてないがギルは気づいていてティーネを試している。
ジャックの持つ宝具は二つ。ジャックは集団だったという説による分裂する宝具と、ジャックは悪魔だったという説による悪魔になる力。
前者はマスターの力量によるが、フラットだと500体以上に分裂可能らしい。しかも夜間限定でBランクの気配遮断スキルも持ってるしどこかのアサシンより強そう。
戦闘用に発動した悪魔になれる宝具は人口密度が高いほど恐怖の対象としての力を得るため強力で、人間特攻もあるからアルケイデスには脅威。しかも分裂宝具との兼用で200体くらいまで分裂できる破壊力抜群の宝具だった。
まぁでも基本的には時代も新しいし、強い英霊ではないんだよね。ジャックさん。バーサーカーも本来弱い英霊を強化するためのクラスのはずだし。その恩恵も預かれていない。
手札を全て開示したことで、死途にも正体がバレて退場もそう遠くなさそうだった。
アルケイデスにはよく効く宝具で優勢を取るが、ここでアルケイデスは三つ目のアヴェンジャーとしての宝具を発動。それは宝具を奪う宝具であった。
こうしてジャックの悪魔化の宝具は簒奪され、ただの分裂する人にまで弱体化。止めを刺されるところで令呪による強制転移で助かったがこの後どするんだろう。フラットに活躍してほしいな…
アルケイデスは対人戦闘において特化しすぎだろ… 人の作った道具は通じないし、人に対して特攻を持つ宝具も手に入れた。もしかしたら何か制限があるかもしれないけど、もっと簒奪できるなら凶悪だ。だからギルにエアを使えと言っていたのか。
椿を守る戦力がなくなったところでやってきたのはギルガメッシュとリチャードや偽アサシンたちとデュマまでw
デュマは警官たちの助っ人のようだ。今のところ雑魚なクラン・カラティンには活躍の場が欲しいところだね。
死途も偽アサシンが自分の魔力で穢れていないのを見て戦闘のスイッチが入ったようだった。元々5巻で完結だったらしいし、そろそろ誰か退場するのかな。
第四次聖杯戦争ではウェイバーが主人公だったように、少なくとも4巻の物語では数少ない善性フラットがマジ主人公。敗北するにしてもドラマチックなシーンを期待している。
個人的な評価★★★★★
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