佐島 勤
KADOKAWA (2017-02-10)
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魔法科高校の劣等生 21巻 動乱の序章編〈上〉 感想です。
達也たちもついに最終学年の3年生に進級していた。この物語は高校生までの物語らしいからクライマックスまで近づいていると言える。
入学式の準備の最中、世界にもたらされたニュースはブラジル軍がゲリラ相手に戦略級魔法「シンクロライナー・フュージョン」を使ったという知らせ。
リアルで例えると核兵器を使用したと考えれば分かりやすいかもしれない。
戦略級魔法はどれも大量破殺戮&破壊魔法だけど、発動の見た目などで隠匿しやすいとかしにくいとかあり、どんな魔法か判明していないものもあった。
達也の懸念はそんな戦略級魔法がバンバン飛び交う世界情勢になってしまうことだった。
毎巻冒頭で書かれている戦略級魔法師の活躍が楽しみなオープニングであった。
新入生で名前がついていたキャラは主席の「
三矢詩奈」とその自称ボディガードで幼馴染の二科生「
矢車侍郎」
詩奈は小動物系で侍郎の親密さも可愛らしい。侍郎は古式魔法の使い手だが現代魔法含め才能には恵まれず詩奈のボディガードをクビにされるも、自主的に技術を磨き守ろうとしていた。それゆえに空回りしたりもしていた。
健気で努力のキャラであり憎めない性格だった。エリカに何かしらの才能を見出され稽古をつけてもらえることになり今後活躍しそうだった。
エリカと侍郎の関係を訝しむ詩奈の焼きもちは、劇中にませている高校生が多い中幼く見えて可愛かった。
比較的平和な学園パートはそんなに描かれていなかった。
登場したのは新ソ連の戦略級魔法師の二人。新ソ連は公式には二人しか戦略級魔法師を有していないということになっているが、クローンとしてもっとたくさんいるというのが明かされた。もっとも世界には公式発表で13人しかいないとされながら、50人はいるだろうとは劇中で触れられている。
達也の例もあるし、未知の戦略級魔法が登場するのもあり得る気がする。
新ソ連の戦略級魔法の「トゥマーン・ボンバ」は効果もエフェクトもまったく未知の魔法だった。
新ソ連の国籍不明の不審船の対応に当たっていた一条家の当主が謎の魔法を全力で防御したため、戦闘不能にまで追い込まれてしまった。お兄様が強すぎるからあまり印象に残らないけど、攻撃系なら劇中トップクラスの人物だろう。
さらに北海道にまたもや新ソ連の不審船が接近していた。
出撃したのは風間たちで達也は場合によっては協力してもらうということで待機状態。でも達也は何かあっても北海道にいる風間たちを頼れないという一方的な状況となった。
風間たちは正式に四葉家の人間となった達也との関係に悩んでいたのだった。ここまで達也に頼りすぎていて、四葉と軍がもしも敵対関係になった場合にどうなるのか困っていた。
そんな感じで今回の物語は何だかんだで味方が多かった達也が少しずつ孤立していく展開だった。
USNAもグレート・ボマーの拉致または無力化の作戦を実行すべく日本に潜入しようとしていた。戦闘魔法師ではなく、諜報系の魔法師たちを送り込むことから大分達也のことは世界に割れてそうな感じがした。
お兄様は何だかんだで目立ちすぎている。
北海道進行中の新ソ連軍の魔法の無力化のために達也は軍に呼ばれ、マテリアル・バースト専用CADというわけではなかった「サード・アイ」を使った超長距離からの支援の任務が与えられた。
新ソ連が使ってきた魔法は水素と酸素を生成して着火する魔法。これが未知の戦略級魔法「トゥマーン・ボンバ」のようだった。一条家がやられたのもこの魔法の小規模バージョン。
これはループキャストとは違い変数を変えながら魔法式を複製するという達也もびっくりな技術を使用していて、術式解散が通じない魔法であった。雲散霧消で無力化はできたけど、あれと戦うのは達也でも厳しいらしい。
現状の技術では対策できないが、かつてリーナが使っていたブリオネイクから新魔法を作り出した達也のことだし、何とかするんだろうな。深雪のためでもあるし。
「トゥマーン・ボンバ」を達也と同じく超長距離から発動していた新ソ連の魔法師は自分の魔法を無力化したのはあのグレート・ボムの使用者じゃねと考えていたのは末恐ろしかった。世界中で人気者になりつつあるお兄様。もしも完全にバレたら速攻で暗殺のターゲットにされそう。
世界情勢は反魔法主義者たちによる過激なデモが頻発する情勢にもなっていた。
そこでナンバーズの30歳以下の若手によってその対策が検討されることになった。四葉家代表は達也。
九島光宣が久々登場するも会議の代表にはなれず… でも周公瑾を大したことのない相手と言い捨てたり大物感があってもっと活躍してほしいと思った。
達也は会議で深雪を使った魔法師の社会貢献のプロパガンダに完全拒否して場を凍り付かせナンバーズの間でも孤立を始めていた。達也のこういうところは大きく弱点だ。
そしてそれをフリズスキャルヴで監視してほくそ笑む七賢人ではなく、直接の製作者も登場。世界を盗聴する機能を知るのは七賢人と製作者だけとはいえ、これがあるからこそUSNAは日本にスパイだけ送ったのかもしれない。
また国内でも要人警護の分野で国防を担うナンバーズ十山家が達也を狙っている素振りがあった。
味方からも敵国からも達也が包囲されつつあり、深雪のためなら世界をも敵に回せそうだが、達也がピンチになることはあるのだろうか。
個人的な評価★★★★☆
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