西尾 維新 VOFAN
講談社
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撫物語 第零話 なでこドロー 感想です。
今回はタイトルの通り撫子が主人公の物語。貝木に騙されて漫画家を目指しようになった後の時系列。
神様から人間に戻った撫子は学校へは行かずひたすら漫画家になるために画力を上げる努力をしていた。数少ない話し相手はたまに遊びに来て手伝ってくれる月火や、月火の監視の愚痴を言いに来る余接ちゃん。
余接の月火の嫌い様が老倉の暦へのそれと勝るとも劣らなくて面白かったw 悪いことは全部月火のせいにするし。
学校へ行かず漫画ばかり描いている撫子に両親は中学を卒業したら漫画を描くことを辞めて働けと甘い腰を上げて期限を作ったのだった。
中卒で体力もコミュ力もない撫子にとってそれは現実的なものではなく、それを相談された余接は蛞蝓豆腐のときの応用で式神を4体作り皆で努力すればいいと提案した。
劇中ではドラえもんののび太の宿題をするために未来からドラえもんを連れてくるエピソードを例に挙げていたけど、個人的にはナルトの影分身での修行を思い浮かべた。式神の経験をそのまま自分のものにはできないが。
そういうわけで、撫子はスケッチブックに前髪が長かったころの「おと撫子」、カチューシャで前髪を上げてアピール中の「媚び撫子」、くちなわのときの前髪の短い「逆撫子」、神様だったときの「神撫子」の四体を描き、余接がそれを式神化した。
ところが余接の予想では1体か2体か式神化に成功したら御の字だったところ、4体全て式神化に成功してしまい制御不能に。しかも今撫子以外の撫子は漫画家になるための努力なんて真っ平ごめんということで逃亡してしまった。
こうして今撫子と余接による4体の撫子の捕獲作戦が始まった。
順番に撫子を捕まえていくという流れだったが、今の撫子が昔の自分に対面して色々思ったり向き合ったりすっかりキャラが変わったなぁと思った。
意外に登場した老倉は撫子のことを覚えていたし、また大学に馴染めずにいたのは老倉らしいね。
劇中の目撃上であった手ブラブルマの撫子が街を徘徊しているという描写がなかったのは残念w
神撫子は式神とは言えとても強く、一度は余接をバラバラにするほどだったから最終決戦は緊張感があった。撫子に似つかわしくない頭脳プレイは見物でこの戦い方は予想していなかった。
でも真の黒幕があいつだってことはなんとなく予想できたな… 描写があからさまだったし。
余接の手助けがあったとはいえほぼ自力で冷静に今回の怪異絡みの事件を解決した撫子は臥煙に気に入られ、仕事を手伝うこととなった。
これは余接が月火の愚痴を聞いてくれて感謝している撫子のために、仕事を斡旋するという大きな策略があってあえて撫子主体で事件を解決させたというのは面白いオチだった。
撫子は最終的に余接なしでスケッチブックに描いたものを実体化させる能力を手に入れ、忍からも使い方のレクチャーを受けていた。かつて殺し合った関係だけどこうして再び普通に話せるようになって良かった。
現在神原は忍野扇と向き合っているそうだけど、このエピソードが描かれることはあるんだろうか。
撫子が阿良々木家に侵入中に戦場ヶ原からなぜか家電に電話があったというのは今回の謎だけど、あとがきで次のオフシーズンラストの「結物語」は暦とひたぎの結婚式の物語?と書いてあったからそれ絡みだろうか?
そして今回の撫物語に収録しきれなかった「まよいイーブン」と「よつぎノーサイド」はどうなってしまうんだろうか。
個人的な評価★★★★★
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