水無月 すう
KADOKAWA/角川書店 (2015-07-25)
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水無月 すう
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プランダラ 1巻 2巻 感想です。
そらのおとしもの の水無月すうの待望の新作が1巻と2巻二冊同に時発売された。
今回の物語は我々が住む世界とは異なるファンタジー世界のお話。
この世界の人間は身体のどこかに数字が刻まれていて、人それぞれ何かをカウントしていた。歩いた距離や、新年を貫いた回数など、簡単そうなやつから難しそうなやつまで多種多様に。

失敗したらそのカウントが減り、それがゼロになると「アビス送り」となり地面に引きづり込まれその後どうなるかわからないというホラーなカウントだった。でも歩いた距離だったら減りようがないような…
また、この数字はある種の身分制度にもなっていてカウント数が大きい人から小さい人への命令は絶対に破ることができなかった。結婚を迫ればできてしまうというギアスだった。
しかし、「星奪戦」と呼ばれる決闘を行うことで、カウント数を奪い下剋上することも可能だった。この星奪戦は普通のバトルで武器を持っていたり、男女の力差などで不利有利があった。
ヒロインの「
陽菜」はアビス送りとなってしまった亡き母の遺言を守り、「10000」と刻まれた球体を持って
「
撃墜王」と呼ばれる英雄を探す旅をしていた。

陽菜は訪れた町でパンツを覗きながら物乞いしてくる仮面を付けた不審な男と出会うが、この男が目当ての撃墜王なんだろうなというのはお決まりの展開でわかるw
不審な男を傍らに現れたのは自分こそが撃墜王だと名乗る軍人。陽菜よりもカウントが少ないことでお察しだねw

しかし信じてしまった陽菜はちょろちょろと付いて行き星奪戦を挑まれカウントは1に…

こいつの狙いは最初は身体のようだったが、陽菜がバロットと呼ばれるアイテムを持っていることを知るとそちらに変わった。
バロットは形状は様々だが本来の自分のカウントとは別に道具に刻まれたカウントでカウント数が大きいほど強力な武器になるという性質を持っていた。陽菜の場合無自覚だったためセーフだが、一般的に軍の高官以外がこれを持つことは禁止されていた。
仮面の変態は腕に-999という女の子に振られた数をカウントしていたが、アビス送りになっていないのは刀の形をしたバロットを持っていたからだった。
陽菜の母がアビス送りになったのは陽菜に譲渡してしまったからだろうか。でも冒頭で譲渡しているのは引きづり込まれながらなんだよな。そこがまだよくわからんところだ。
そんな感じでヒロインのピンチに仮面の変態「
リヒトー」が助けに登場。

バロットの数字は5700と桁違いの強さ。
やはりこいつが撃墜王なのかと思ったけど、撃墜王が活躍したのは300年前とはるか昔。陽菜の母が娘に託した玉のように世襲制なのか…? でも発言からしてよくわからんな。5700も何をカウントしているのだろう。
無事悪い軍人を倒しリヒトーは陽菜を残し旅だったのだった。陽菜もついていく流れだと思ったのに。
そして2巻でリヒトーが訪れたのは優しくチョロく皆から慕われる女性軍人が統治町。
しかしそこにやってきたのはお尋ね者となったリヒトーを追うバロットホルダーの軍人「
ジェイル」。登場の仕方が悪者そのもので、子供の人形を壊したり最悪だったからこいつも間違いなく敵だと思った。
しかもバロットのカウントは12500というリヒトー以上。それを900と偽ってまであえて出世しないようにして現場で戦う軍人だった。

バロットの能力はハガレンの錬成のように鉄限定だけど物を作る能力。
この世界でどれくらいのカウントが規格外扱いなのかまだ見えていないが、高位能力者同士の激しいバトルだった。どうしてもハガレンを思い出すバトルだったけどw
カウント差もあってジェイルに手も足も出なかったリヒトーだったが、どうやらリヒトーはまだ力を隠しているらしい。
それにジェイルも普通にいい奴で、女性軍人を助けたり、子供たちのために遊具を作ったり、自分が壊してしまった人形を直したりしていた。心強い味方キャラってことだろう。

それにリヒトーは振られた数をカウントしているけど、トモキと一緒で実はハーレム形成している系の主人公だね。
再び陽菜の所に戻ってきたリヒトーだが、他人の血を見るのが苦手と言うリヒトーの左目は何かをカウントしているようだった。

二つ目のバロット?そもそもカウントとは何なのか気になってくる展開だった。
カウントがゼロになった人間が引きづり込まれるアビスだが、そこから現れる「
アビスの悪魔」という存在があった。それはこの世界では研究することさえ死罪になる飛行を行うことができるものだった。
アビスの悪魔が現れた町は女子供も関係なく殺され、焼け野原になるという本当に悪魔のような存在。
それが陽菜が滞在する町に現れたのだった。
その正体は世界感に似つかわしくない我々の世界の軍用攻撃ヘリ。最後にすごいことになったものだw 軍人たちでさえ武器として弓を使っているくらい原始的な設定の世界なのに。

ヒロインの名前が漢字で「陽菜」で、この世界の人間も漢字を珍しいとしながらも認識していることは伏線だったのね。
それにだからこそ空を飛ぶ方法の研究が死罪で、”撃墜”王だったか。リヒトーもヘリについて知っているようだし。
やはりこの作者は謎の散りばめ方と、引きがうまいわ。まだ同時発売の2巻なのに続きが超気になる展開。これからも応援していこう。
個人的な評価★★★★★
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