西尾維新原作の読切企画の第1段と第3段。
両作品ともジャンプSQ.に合わせてか、対象年齢は高めな内容でよく「世にも見奇妙な物語」でありそうな物語だった。どちらも邪道な展開w
それぞれレビューしていく。
RKD-EK9漫画は小畑健。少年ジャンプでお馴染みバクマン。やデスノート、ヒカルの碁などで漫画を担当していた人だ。ラルΩグラド?いえ、知らない子ですね。
個人的にはこの二人の作風と絵柄はかなりマッチしていると思う。
科学的に「天国」の存在が証明され、同時に「天国」へ行く方法も判明した世界が舞台の物語だった。

この時点でかなり世にも~っぽいよねw 出だしでとても惹きつけられる。
天国へ行くには善行ポイントを一定数集めなきゃならないが、人間の生涯の平均ではその1割程度にしか到達できず、実際ここ50年は誰も天国にいけていなかった。

主人公の「
剣林」はこんな世界でどうにか天国へ行こうと日々の生活を送っていた。
そして天国の存在を証明した博士の娘の協力を得て、剣林は天国に行ける薬の開発に成功した。これがタイトルの「RKD-EK9」。

動物実験では成功しているためさっそく試そうとする剣林。しかしこの薬は猛毒で天国への片道切符だった。
それでも天国という素晴らしい場所に行けるなら、現世のような二軍に留まる必要はないと喜んで自殺しようとする主人公の歪み様が面白い作品だった。狂気じみてる。

止めるヒロインに「何言ってんだ? 天国行けるなら慌てて自殺だろ フツー」ってセリフのセンスが良いが、主人公どれだけ現世に絶望してんだか。
博士の娘の方が異常なキャラと見せかけ、本当に異常だったのは主人公だったというわけか。
主人公は無事自殺に成功して天国へ辿りついたが、50年誰もやってこなかった天国はすでに廃園していたというなかなかのオチ…

自殺した愚かな主人公は新たに開園する「地獄」に行くしか道はなく、特に理由もなく安易に自殺した者にとっては相応しい場所という秀逸さ。地獄の河原で石でも積むのかなw
短いページでここまで邪道さが詰め込まれているとは思わんかったわ。「世にも~」好きだし、そんな雰囲気を纏う作品で大変満足!
続いて、
「何までなら殺せる?」漫画は池田晃久。ロザリオとバンパイアの作者だ。このロザバンは初期と最後の方とでは画力の違いに驚くね。相当がんばったんだろう。今は画力のある作家一人だと思う。
この作品は出だしから猟奇的な作品でヤンデレホラーだった。
幼少時に主人公に「何までなら殺せる?」と質問してきたヒロイン。

その質問の意図は蚊なら殺せるけど、カエルは?ネズミは?ひよこは?と高等な動物になるにつれ殺すことに罪悪感を覚えてできなくなるということだった。

そしてそのヒロインは幼少時の段階で、犬までなら殺せると笑顔で答える怖さ満点で主人公が距離を置いたのも納得な少女だった。
最初から猟奇的な匂いを漂わせ始まった物語は、コップ一杯に水を満たして運ぶような緊張感のあるシナリオで、幼少期から10年後に再び主人公の前に現れたヒロインは犬を死体を持っていた。
主人公は幼少期の話をあの話を思い出すが、この犬の死体はペットが天寿を全うしたため埋葬するために運んでいる途中だった。それでもギリギリの危うさを感じる不発弾のようなヒロイン。
ヒロインは生前苦しんでいた犬を殺して楽にしてあげることができなかったことを悔いていて、狂っている精神はそのまま。

安楽死という選択肢は過るかもしれないけど、言い方が悪すぎる。
十年間の犬との思い出を語る普通のヒロインで少し安心しかけたが、好きだった主人公が今は落ちぶれて人生に絶望していると知ると、スコップで後ろからグシャっといっちゃった…

何までなら殺せるの問いに人間は無理でも犬は可能と考えた幼少時の考えを改め、犬より低い場所に人間がいたことを認識した猟奇的なヒロインの物語だった…

こっちも邪道だが、またテイストの違う邪道さ。ヤンデレ成分の怖さが良かった。
ジャンプSQ.12月号に掲載された西尾維新の読切はどちらもブラックで邪道な作品だった。こういう系統の作品を少年ジャンプで読みたいと思った。
他の掲載誌でもそれに合わせた作風になるのだろうかね。読んでみたいけど、全雑誌追うのは大変だ。
下のランキングのバナーを押してくれたら励みになります!
