西尾 維新 暁月 あきら
集英社
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前回アニメの宣伝がてら登場した「十三組の十三人」と、ついに素顔が公開された半纏に助けられためだかたちは箱庭学園に戻ってきていた。善吉と球磨川は赤さんの『五本の病爪』でも傷口がまったく癒着せず意識レベルも最低のまま目覚める兆しがない状態だった。
善吉は漆黒宴のときからまったく活躍してないじゃないか… せっかくめだかに勝ったのに噛ませ犬にもなりきれていない。どんどん影が薄くなっていく。
そのころめだかは半纏からドリンクバーを御馳走されながら詳しい話を聞いていた。半纏はこの顔でドリンクバーをめだかに所望してたと思うとやっぱり面白い。
半纏の話によると、大方の予想通り半纏は安心院さんの影武者だった。
だが元々悪平等という種類の人外だったというわけではなく、影武者を生業とする別種の人外だったようだ。安心院の影武者をするために倣って悪平等という存在になり、『スキルを作るスキル』もそのための手段にすぎないそうだ。
めだかボックスの世界には人外が多く居るようだね。安心院だけでなく。インフレしそう。
めだかは半纏に「十三組の十三人」と一緒に助けに来てくれたことを感謝したが、言彦のことを予め伝えておけば安心院は死ななかったと責め立てた。
しかし半纏はあくまで影だから安心院の行動を賢愚問わず妨げないし、そもそも安心院が殺されるとは思っていなかったそうだ。五千年前に一億回以上敗北しながら五体満足で生き延び目的も遂げているくらい生存することが得意だったからという理由で。

いつかの感想でも書いたけど、過去に一億回負けておいて生きてるんだから今回死ぬ方が不自然だ。だから安心院が逃げずに死ぬまで戦ってめだかたちを逃がすなんてよっぽどのことだったんだね。泣けるじゃないか。
半纏はめだか達のせいで安心院が死んだからそれを許さないと言いながらも、安心院の意志を継ぎ二度と言彦の前には立たせないと宣言した。

半纏は安心院の影武者を好んでしてたくらいだから安心院のことを大切に思っていた様子だった。だったら影であろうと助言しとけよと思うけどね… 何のための影武者からわからない。ほんと何のための影武者なんだろう。
ここで言彦の正体も明らかになった。言彦はかつて世界を救った英雄だった。悪を正し弱きを助け仲間と共にある女を愛し戦い続けた五千年前の御伽噺の英雄だそうだ。五千年も前なら本当に御伽噺レベルだろう。

安心院がフラスコ計画で目指した『完全なる人間』のイメージには獅子目言彦があったらしい。それなのに出来上がった『完全なる人間』が善吉とか滑稽だねw 「十三組の十三人」ですらまったく届いていいないじゃないか。
そんなサーヴァントみたいな英雄言彦が今回暴虐の限りを尽くしていたのは、時代が違いもう守るべき土地も愛する女もいない上に、今の言彦は英雄言彦そのものではなく、不知火の里が五千年間伝承してきた獅子目言彦という『存在』そのものだからだった。
半纏はそれをバックアップと呼び、生存能力が高い安心院より自分の方が先に死ぬ公算が高かったから、そのときの予備として一万年前にそういった存在バックアップを作り、その一部が派生してできたのが不知火の里であった。
ところが派生系とは言え半纏の性質である『希少種を保存したい』という本能を引き継いでいて英雄言彦を保存してきたそうだ。黒神家の影はただの特技を活かしたアルバイトにすぎないらしい。ドッペルゲンガーズも曲がりなりにも安心院さんを真似て互角に戦えたしその技術は確かなようだね。
しかし『希少種を保存したい』と思うならやっぱり安心院をあのとき止めてろよと思う。安心院が死んだため半纏がバックアップとして反転院さんになったのはいいが、所詮偽物は偽物じゃないか。実際言彦は今や弱きをくじいてる。原本と複写は違う。
不知火の里の場合は言彦のバックアップのサイクルをまるで日本の伝統芸能の襲名のようにずっとやってきていて、次に言彦を継ぐのが四年後二十歳になったときの半袖だった。

半袖が言彦を継ぐときは、人格や体格まで完全にトレースして半袖は消えてなくなり獅子目言彦が現れるそうだ。なんとなく量産型言彦を作れそうなシステムだね。トレースできるなら。
たしか聖杯の導に従う方の英雄も実際には死んでるけど世界の英霊データベースみたいなところに登録されて、過去未来での聖杯戦争に召喚されてんだよね?この不知火の里も既に死亡している言彦を完コピして現在に至るようだ。
ひどい話だが言彦に守るべき土地や愛する女がいなくても、半袖には守るべき土地(箱庭学園)や愛すべき人がいるんじゃないのか?今の暴虐な言彦が英雄言彦そのものじゃないからというなら、もしも半袖が言彦になっても希望はあると思う。
言彦に残された目的はもはや『生き続けること』しかなくそれが達成できるから不知火の里の外までは追って来なかった。だから学園は安全で半纏が安心院の意志を継いでめだかに半袖との友情を諦めさせようとしていた。
しかしめだかは諦めなかった。「とにかく嫌だ。諦めないもんねばーか!」と駄々をこねる子供のようだったw 昔鬼ヶ瀬に服装を正せと言われた時の言い訳を思い出すw
めだかは半纏の話を聞いて、言彦を今日中に叩き潰し、自分が言彦より希少種になることで半袖を助けると言いだした。フラスコ計画も同じようなことを言って1日で潰したし今回もそうなるんだろう。

半纏は女子にげんこつをしてまで倒せるわけがないとめだかを止めたが、めだかは『できない』に生涯かけて向きあった安心院さんの意志を継ぐと言って半纏を驚かせた。
するとスキルもアブノーマルもマイナスも通用しない言彦に挑むならスタイルはどうだい?と鶴喰と贄波生煮が現れた。鶴喰は自分の原始的(プロトタイプ)なスタイルじゃ無理だろうけどめだかがスタイルを身に付ければ勝機はあると言ってきた。しかも鶴喰は半袖のことを本当に覚えていた!中二病的背伸びではなく、本当に覚えていたw

鶴喰が覚えていたのは学園の外での半袖だったけど、仲間が増えて良かったじゃないか。しかしめだかはあのとき鶴喰が知ってると言ったのを信じず別の人のところへ行ってしまったのかよ… かつて陸上部の靴のときに犯人の明らかな嘘を信じたときとは別人だね…
そういうわけで鶴喰はめだかを誘いめだかが殺したスタイルの創始者鶴喰梟に会いに行こうと誘った。ということは梟博士は生き返って鶴喰もすでに認識してんだね。めだかを姉と重ねてたし良い印象はあまりない人物だけど、はたしてどんな自分なんだろうか。そしてめだかが手にするスタイルはどんな言葉なんだろうか。ただ、スタイルで生き返ることが可能なら安心院さんも善吉も球磨川も未来がありそうだ。
不知火の里の半袖は次の影武者の仕事の職場に向かっていた。次の影武者の対象は死人である鶴喰梟だった。めだかたちは別人となった半袖とまた再開しちゃうのかな。
今週は情報量が多い回であった。掲載順がドベ3なのも気になる。
めだかとは関係ないけど、今週のこち亀ww
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