谷川 流
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-05-25)
売り上げランキング: 4
4年ぶりの新刊。本当にこの日が来るのか本当に疑わしかった。4年という月日は長くて、大学に入学して卒業してしまうくらい待った気がする。

書店で買ったらクリアファイルも貰った。

けいおん!のクリアファイル同様使えないけどw
物語は前作の分裂からの地続きの続編で、4年という時間は消失の内容を忘れるのに十分だった。
でも読むにあたって最低限電話を境にαルートとβルールに分かれ、αルートではほのぼのといつものハルヒで新入団員を募集しその中に妖しい女子生徒が居たことと、βルートでは長門が熱を出してダウンしたことを覚えておいた方がいいだろう。
話が違うαルートとβルートを同時進行で読むのは違うラノベを読んでいるようで疲れたが、最後の結末の盛り上がりと面白さはいつものこのシリーズで安心した。
何故か筆が乗らずにこんなに時間がかかったようだが、面白さがダウンしているようなことはなかった。
本編は懐かしいキョンのナレーションから始まり、ほのぼのαルートとシリアスβルートが交互に描かれていた。
βルートではキョンに迫る天蓋領域の九曜の目の前に朝倉が現れて驚愕した。消失のときもそうだが、朝倉は便利なキャラだと思った。長門のバックアップである朝倉が出てくるということは長門がかなりのピンチということだけど。
さらに喜緑さんもこの場に現れたが、彼女はキョンが死のうが何が起きようがただ観察するだけの存在らしい。ちょっとは味方だと思っていたけど頼りにならないやつだ。
喜緑さんや九曜は人間なんてどうでもいいと思っているらしい。九曜が情報統合思念体のインターフェイスに興味を持っていることは意外だったけど。
橘の発言から明らかになったが、古泉は機関のボスで一人で機関を立ち上げて今も運営しているそうだ。古泉はそれを隠しているようだがこれは何かの伏線だろうかね。一度だけ裏切るらしいけど、組織のボスがそんな行動をしたらどうなることやら。
朝比奈さんたちが時間移動しているときに使うTPDDは時間平面に穴を空けることでそれを可能としているようだ。だからそれを繰り返すと時間平面がボロボロになりヤバいようだ。これも何かの伏線だろうかね。
ハルヒの消失のとき谷口にできた彼女の正体も明らかになったw 当時はどうでもいいと思っていたが、谷口の彼女の正体はなんっと九曜だった。九曜はキョンと間違えて谷口に近づいたそうだ。
人間を下に見ている連中からしたら人間の個体差がわからないのかもね。それと、消失で改編前から地球に居たことになるが、あの改編には巻き込まれなかったらしい。まぁ、これはきっとただのプチ情報だろうw
αルート、βルートでそれぞれハルヒは弁当を作っていた。両方とも料理が得意という点は一致していたが、片方は家で良く料理をし、片方は料理をしない世界になっていた。この真逆の差に俺は読んでいて何かあるのだと騙された。
αルートに登場したハルヒの入団試験をクリアした新入部員は
渡橋泰水(わたはしやすみ)という名前で朝比奈さんが悶絶するくらい可愛い娘だった。

読者は誰でも予想するだろう。こいつの正体は異世界人だと。しかし長門のお墨付きでこいつは未来人でも宇宙人でも超能力者でも異世界人でもなかった。
だけど、こいつは分裂時のキョンへの電話の主で、キョンもどこかで会ったことがあるなど、既視感を感じていた。何もないはずはないと誰もが思うだろうが、こいつの正体をこの時点で言い当てた人がいたなら尊敬する。
βルートでは藤原が長門を人質にハルヒの力を渡せとキョンに迫っていた。すごく嫌な奴だった。九曜と手を組んでるから無理やりにでもできるんじゃないかと思ったが、それをしない理由は最後までわからなかたけど。
佐々木にも冷たくただの道具のように扱っていたのは意外だった。ハルヒの力の器は何でもよかったらしい。性格上佐々木が都合がよかっただけで。
もちろんキョンも佐々木もそんな藤原たちの指図は受けたくない。そこで唯一の一般人たるキョンは宇宙人と未来人と超能力者を出し抜く(もちろんSOS団のメンバーは除く)方法を考えるのだった。
βルートではキョンと古泉が暇つぶしにキャッチボールをするが、αルートでのキョンと古泉はキャッチボールをしなければならないと思い始めた。ハルヒの弁当もそうだったが、分裂したαルートとβルートの出来事が同じようになろうとしてるのだと思った。この推測はあながち間違っていなかったけど。
新入団員のヤスミは有能でキョンが作ったSOS団公式ホームページをまともにリメイクした。そのときにキョンのMIKURUフォルダを発見したのは面白かったw
でも公式サイトはハルヒの支持に従って作ったため、ダメサイトになっていたw きっと突然BGMが流れたり、マウスのカーソルに☆が付いてきたり、文字がピカピカ光るようなサイトなんだろうw
βルートにもヤスミが現れ、キョンと遭遇したが、こっちの世界ではどうのこうのと意味深なことを言っていた。こいつはαルートとβルートを行き来できるようだった。
βルートのキョンは藤原と決着を付けるために藤原たちと会談の席に着いたが、彼に誘導され佐々木が作る閉鎖空間へと導かれてしまった。
北高にある閉鎖空間へ向かうのにタクシーを使ったが、その運転手はハルヒが家庭教師をしている後にタイムマシンを作る博士君の父親のようだった。タクシーの中での未来だのなんだのという会話をきっと息子に話息子はそれを参考にするのだろう。
タクシー内で佐々木が藤原に対し車が怖いのではと推定していて少しスカッとした。未来には車という乗り物はないらしくそれに慣れていない藤原は怖いようだった。w 佐々木の推理力はすごい。
ここからが怒涛の展開だった!α世界でのキョンはヤスミに文芸部室に呼び出しをされていて、β世界でのキョンは藤原と橘の三人で佐々木の閉鎖空間内の文芸部室に足を踏み入れたのだった。
そしてその場に謎の少女ヤスミとαルートのキョン、βルートのキョン、橘、藤原が揃ったのだった。
そこで九曜と落ち合うはずだった藤原の慌てふためきっぷりが面白かったw あと橘はヘタレで存在がほとんど空気だった。
ヤスミがαとβのキョンを触れさすと二人は融合し、二つの世界の記憶を持つキョンになり、キョンは全てを理解した。そして気が付けばヤスミはいなくなっていた。
そして空は佐々木の閉鎖空間の色とハルヒの閉鎖空間の色が混じり合う、ハルヒと佐々木の閉鎖空間がせめぎ合ってるような閉鎖空間になっていた。
さらにそこに現れたのは朝比奈さん(大)と古泉。この二人の取り合わせは珍しい。古泉もすでに融合済みで全てを理解していた。そして暗躍していた。朝比奈さん(大)を閉鎖空間につれて来たのも古泉。
藤原の目的はハルヒの力を不安定なハルヒに持たせたままにせず、九曜の力を使って安定した佐々木に移動させることで未来を変えることだった。
どんな未来かは聞いて驚愕した。これはさすがに予想できないだろう。
未来で朝比奈みくるは死ぬらしい。
藤原はそんな未来を固定したくなったそうだ。さらに藤原は朝比奈さん(大)のことを
姉さんと呼んだw
姉さんを失いたくないために未来を変えようとしていた。真実を聞いてみれば健気過ぎる。
ところが朝比奈さん(大)は弟はいないと否定した。どうやら時間軸には今回のように平行世界が存在しているようで、藤原が朝比奈さんが姉である世界か来ていて、朝比奈さん(大)は藤原という弟などいない世界から来ているようだった。そして世界はキャッチボールの件のように集束するらしい。
ちなみにSOS団の朝比奈さん(小)はどっちの朝比奈さんなんだろうね。あと、キョンは朝比奈さん(大)に対して不信感を抱いているが、キョンはそんな人物になってしまう朝比奈さんの未来を変えることはできるのだろうか。
藤原がやろうとしていたことはハルヒの力を使って違う時間軸に時空連続体を一気に書き換えることだった。そんなことは許されないと皆してやってきたらしいが、ハルヒはどうやらそれをしたらしい。詳しくはわからないけど、これによりどんな世界になったのだろうか。
自棄になった藤原は九曜を使いハルヒを殺そうとした。これには朝比奈さん(大)でさえ焦っていた。でもこれに関しては古泉が大活躍だった。ハルヒを助けるのはキョンだが、古泉はナイスアシストだった!今回大活躍だと思う。
空中に浮かびあがらされて、落とされようとしているハルヒをキョンは空中キャッチしそのまま自分がクッションになろうとしたが、それを助けたのは神人だった。神人はキョンとハルヒをキャッチして助けた。これまで暴れるだけったこいつが助けるなんてまたまた驚愕だったw
その時時間移動が起きて、キョンは未来へと飛ばされた。そこに居たのは大学生となったハルヒとキョン。この二人は同じ大学に行くようで何よりだw
しかしその時間は一瞬で次に目覚めたのは1ヵ月後の世界のハルヒの自宅の部屋のベッドの上。まるで襲い掛かるようにそこに現れたのだった。この日はSOS団結成1周年の記念すべき日で、古泉たちが外から投げ込んだプレゼントを朝方の時間にハルヒに渡した。
新聞も来てないような時間に夜這いに来たのはサプライズだそうだが、ハルヒは喜んでいるようだったw
しかしこの時間移動は何の意味があったのだろうかね。プレゼントを渡すのなら普通に時間が経過しても問題ないだろうに。あと大学生のハルヒも謎。これが次回以降の伏線かな。プレゼントの中身も謎だったからこれも伏線か。
現代に戻りキョンは古泉と長門から事情を聞いた。渡橋泰水はハルヒが生み出したもう一人の自分だった。
「わたはしやすみず」→「watahashi yasimizu」と書いて入れ替えると「watashiha suzumiya」→「私は涼宮」となる。まったく気付かなかった…
世界をαとβに分裂させたのはもちろんハルヒで、長門とキョンを守るためにハルヒが無意識にやったことだそうだ。本来がβルートだったらしい。だから神人が助けたのだろう。古泉はハルヒの力は収まってくると予想していたが、どうやら逆らしい。
朝比奈さんは今もなお何も知らないままで、可愛い後輩のヤスミが実は中学生でSOS団に入りたいがために侵入していたという話を信じていた。朝比奈さんも可愛いと思う。俺は長門やハルヒよりもみくるちゃんが好き。
エピローグ的な話だが、国木田は鶴屋さんに憧れて北高に入ったそうだ。鶴屋さんは天才で国木田の目標だそうだ。
最後の方は今回活躍しなかった鶴屋さんが不意にプッシュされてて気になった。オーパーツも未だ持ったままだし早く彼女の謎が解ける話が読みたい。いつになることかわからないけど。
あとがきは作者の謝罪がほとんどで次回作についてはコメントがなかった。私見だけど1年やそこらで新刊が出るとは思えないな。
きっと作者は今頃プレッシャーから解放されてほっと一安心しているだろう。それでもがんばって次回作を書いて欲しい。
小冊子「涼宮ハルヒの秘密」感想まずこれに収録されていたショートストーリーRainy Dayはキョンと佐々木が中学生の時の話だった。
佐々木は昔からあの大人びた雰囲気だった。そしてキョンの「やれやれ」という口癖の由来がわかる話だった。
あと、驚愕本編で明らかになった国木田がある人物に憧れて高校を選んだり、キョンが佐々木の作る閉鎖空間の片りんを感じたりもしていた。
それにしてもキョンは佐々木のことを異性として見ていなかったようだ。雨で佐々木の制服が濡れて下着まで透けている姿を見ても何も感じていなかったし、プールの授業でスク水姿の佐々木が座っても普通だった。むしろ違う女子生徒の水着姿を目で追っているくらいだった。
キョンと佐々木の中学時代の日常を見ても本当に仲が良かったと感じられた。佐々木はいつまでもキョンの味方で友達な気がした。
個人的な評価★★★★★
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