野村 美月
エンターブレイン
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今回は短編集第二弾で、琴吹さんやその友達の森ちゃん、さらにその森ちゃんに恋をする反町亮太が主役な話がメインだった。
さらに森ちゃん、亮太、琴吹さん視点での本編(慟哭の巡礼者や神に臨む作家)にもなっていた。もっとも当事者でないから。
普通に心葉視点の“文学少女”の今日のおやつは3本収録されていてギャグテイストの話で面白かった。
1本目は心葉が回りか
ら『幼女の写真に毎日話しかけているロリコン』だと勘違いされる話で、噂を知っていた遠子先輩の心葉に対する反応が面白かった。遠子先輩は嘘をつけない性格だねw
ロリコン疑惑を作った犯人は憎めない相手であった。この犯人は本編でも登場しているけど絵がついたのは初めてじゃないか?
2本目は心葉が回りから芥川君と付き合っているホ×だと勘違いされる話で、誤解を解くために芥川君に話をするが芥川君が誤解を生むような発言ばかりをしてベタだけど笑った。芥川君はこういう知己に乏しそうだししょうがない。噂を知っていた遠子先輩も相変わらずであった。
3本目は心葉が回りからマザコンだと勘違いされる話であった。原因はお昼の弁当を妹のものと間違えたためだったが、ロリコンとホ×の話のようなギャグテイストではなく意表をつかれた。
しかし心葉は遠子先輩が母親とちょっと似ていると思うなんてあながちじゃないか?
この短編集のメインと思われる森ちゃんと反町亮太の話はまるで柑橘系のフルーツゼリーを食べているかのような甘酸っぱさとのどごしの良さがあった。
4本から成り立っていたが、
最初の“文学少女”と愛を叫ぶ詩人(ハイネ)は、亮太が琴吹さんに恋していると勘違いした森ちゃんが亮太の恋の応援をするけど最終的に亮太が森ちゃんの勘違いを解き告白する話であった。
今回森ちゃんも初イラスト化だと思うけど。ちょっと子供っぽいけどポニーテールが良く似合う活発な娘であった。
なかなか告白できない亮太は文芸部のポストに手紙を投函しクラスに現れた遠子先輩からハイネの詩集を借りるが、最初詩集を馬鹿にしていた亮太だがその詩集を読んでハイネは友達だと言うくらい心変わりする様が滑稽だった。亮太のテンションがとても面白かった。
2本目は“文学少女”とキスを待てない詩人(バイロン)で、時期は12月。森ちゃんと付き合い始めた亮太は森ちゃんとキスをしようとするがいつもタイミング悪くアクシデントが起きてうまくいかなかった。
さらに悪い事に森ちゃんに変な誤解までされてしまった。そこでまた遠子先輩の登場だ。今度はバイロンの詩集を借りてバイロンは先輩と言ってまた心変わりした。
しかも森ちゃんの水着姿が見たいと変態の方向へ向かっていてやはり面白かった。
そして土曜日風邪で寝込む亮太の家に森ちゃんがやってきた。亮太以外の家族は外出中。
亮太の部屋に入った森ちゃんは、そこでなんと服を脱ぎ始めた。そして挿絵付きで水着エプロンの森ちゃんが登場した。亮太の変態的願いを叶えてくれるなんていい娘だ。
雰囲気も良くなりとうとう亮太の念願のキスができそうというときに…また邪魔が入ったw
親に水着エプロン姿の彼女を見られるなんて残酷だね。変態の道を進んだ亮太ドンマイだ。
ところでさっきからずっと森ちゃんのこと森ちゃんと書いてるけど、下の名前はいわゆるDQNネームで本人はその名前を呼ばれるのをとても嫌がっていた。某ゲームの主人公の戦人(バトラ)よりはマシだと思うけど。
本編ではしょっちゅう下の名前で亮太からからかわれるが、その様子が自分の厨二病の黒歴史を誰かに喋られているかのようだった。生まれて数日からこの名前なんてちょっとかわいそうかも。
亮太は悪気があって下の名前を呼んでいるわけではなくただいちゃついているだけなんだけで、二人きりのときは森ちゃんも下の名前を呼んでもいいと言っている。
その名前はネタバレになるから反転で書くが、ちなみに弟の名前はルから始まる泥棒の名前。妹は森ちゃんが泣いて両親に懇願したため普通な名前。候補は無鹿(なうしか)であった。
そして森ちゃんの名前は
紅楽々(くらら)3本目は“文学少女”と汚れつちまつた詩人(チューヤ)で、この話あたりから本編の裏という感じがしてきた。中也と言えば「ゆやーん ゆよーん ゆやゆよん」で有名かも。
森ちゃんと亮太は交際を続けていたが、森ちゃんは最近元気のない琴吹さんのことばかり気になっていて亮太はそんな森ちゃんと喧嘩をしてしまった。
ちなみに時期は琴吹さんと朝倉の間に色々あったりしたころから、心葉が流人の電話により琴吹さんのデートをすっぽかして遠子先輩の墓参り先に行ったりしたあたりまでだ。
喧嘩してしまった亮太は例のごとく遠子先輩から中也の詩集をレンタル。中也のようにはならないとまたテンションが上がるが…琴吹さんと心葉が交際を始めたとかで森ちゃんは普通に元気になりバレンタインも期待してみたいな感じになっていた。亮太と森ちゃんがラブラブになってよかったと思う。
そしてバレンタイン。森ちゃんの家にやってきた亮太は森ちゃんからキスを迫ってきてついに夢が叶いそうな状況になったが、やはり邪魔が入った…森ちゃんには小さな妹と弟がいた…
だが帰りに森ちゃんからほっぺにチューをしてもらって亮太は悪くなかったと言っていた。うらやましい奴だ…
しかしそんな亮太にまたアクシデント。心葉が琴吹さんとのデートをすっぽかして別の女のところに行ってしまったと森ちゃんが怒り狂っていた。
森ちゃんは心葉にヤキを入れると言っていたが、そんな彼女は見たくないということで変わりに亮太が心葉にヤキを入れることに…
亮太は小学生のようないたずらで心葉を転倒させ心葉にヤキを入れたかのような演出をしたが、泣いている心葉を見て申し訳ない気持ちになっていた。
本編を読んだ人ならわかると思うが、心葉が琴吹さんとのデートをすっぽかしたのは遠子先輩が両親の墓参りに行ったのを勘違いして追いかけたからだ。
このときの心葉の心情を考えればせつないね…
最後4本目の“文学少女”と祝福する詩人(タゴール)。心葉が遠子先輩のために小説を書いている時期の話だ。
この話では亮太がとてもかっこよかった。落ち込む琴吹さんを心配する森ちゃん同様亮太も琴吹さんを心配していた。
亮太はことの真相を確かめるために心葉の浮気相手とされる遠子先輩に直接聞きに行った。
遠子先輩は心葉はななせちゃんだけと否定したが、タゴールの詩集を貸してくれた。
亮太は琴吹さんを元気付けるために休みの日に森ちゃんと一緒にリゾートプールみたいなところに誘った。自腹でチケットを買った亮太はかっこいいw
水着姿の森ちゃんと琴吹さんに見蕩れる亮太だったが、琴吹さんを励ますことに成功。亮太がいなければ本編のようにはならなかっただろう。
そしてホワイトデー兼卒業式。琴吹さんは遠子先輩を責めていた。その後亮太の胸で泣く琴吹さんは印象的だった。亮太男前すぎ。
校舎の外に出た亮太は遠子先輩に色々話した。遠子先輩は心葉のことが好きなのではないかと思っている亮太は「恋しろよ!文学少女!」とエールを送った。
本編の事情は知らない亮太だけど裏で遠子先輩や琴吹さんを元気づけていて温かい気持ちになった。
その後校舎の外にも紅楽々もやってきてととうとう亮太の夢も叶った。けっこうバカップルだと思った。
2本収録されていた ななせの恋日記 は名前の通り琴吹さんがずっと心葉を想い続けている心の内が描かれている話で琴吹さんを応援したくなる話であった。
琴吹さんがいつか報われる日はくるのかな。ぜひとも彼女には幸せになってほしい。
このななせの日記は琴吹さんがひたすら可愛い内容で、二年生になって心葉と同じクラスなって大喜びしたり、心葉をにらんでしまって落ち込んだりして一喜一憂する姿が健気だった。
遠子先輩が破ってしまった本の代金をおかしいと思いながらも心葉に請求して貰った500円効果を大事に取っておいたり、心葉を嫌いと言ってしまったときの心理描写も書かれていて興味深かった。
遠子先輩に文化祭の劇に誘われたとき、琴吹さんが加わると心葉も喜ぶと言われテンションが上がり、心葉と色々やる妄想を膨らませる琴吹さんは本編の彼女からは想像できないくらい乙女であった。
こういう裏があっての、あのツンデレなんだね。
心葉とのデートでも終始緊張していて空回っていた。だが心葉が優しかった。なのに最終的には遠子先輩を選ぶなんて心変わりが激しい。
挿絵じゃないけど琴吹さんの日記のようなページがいくらかあり、書かれていることが心葉のことばかりで面白かった。
時間は“文学少女”見習いの菜乃の話だ。見習いの方が楽しみだったけど、短編集2も予想以上に面白く満足できた。
映画も見に行きたい。どうせ最寄りの劇場ではやらないだろうけどね…さすがに新幹線に乗ってまで見に行けない
個人的な評価★★★★★
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