水無月 すう
KADOKAWA/角川書店 (2014-02-22)
来月発売の20巻でこの物語もついに完結…
シナプスで瀕死の重傷を負った守形先輩は智樹に電話して自分の家の事情を語った。
守形先輩には兄がいたが、兄は守形先輩のせいで事故死。家族もそのことで守形先輩をいない人扱いをすることにしたのだった。

最期の願いを智樹に託し守形先輩いかにも死にかけているけど、この後日譚の物語で普通にピンピンして活躍しているからまったく心配は無用だな。
守形先輩は気を失う前に何やら一仕事終わらせていたようで、それを会長が見つけていた。でも会長ってシナプスにどうやって来たんだ…?
そして、風音同様非現実の存在だったのはそはらだった…
そはらを迎えに行くためにシナプスへ向かう決意をした智樹。だけどダイブゲームはもう使えないため、直接空を飛んで行くことにするが、問題は対空防御システム。
まずはこの対空防御を無効化するためにニンフとアストレアが出撃したのだった。
最初に空で待ちうけていたのはカオス。相手をするのはアストレア。今回の表紙は誰かと思ったが二回覚醒したあとのアストレアだった。

覚悟決めたアストレアのその顔付きからはアホっぽさは消え、カオスのお姉ちゃんを自称するのにふさわしかった。
戦うことが嫌いで平和主義者のアストレアのカオスを諭すためのラストバトル熱かったわ。
食べすぎてコアが暴走し自壊を始めるカオスを抱きしめ、独りぼっちは寂しいもんなとカオスと一緒に大好きな智樹のことを想いながら死亡。

主要キャラをこうもあっさり退場させるえげつないところはこの作者らしいな。
続いては満身創痍で対空防御の核がある場所まで辿りついたニンフ。そこには元マスターのおっさんもいた。こんな状態で核を壊す力は残っていない中、おっさんは再び戻ってきてくれと契約を持ちかけてきた。
ニンフはその言葉で再びインプリンティングを開始するが、それは自身に仕掛けられている爆弾の起爆コードを知るためだった。どうやらおっさんは本気でマスターとしてニンフをやり直したいようだったが、ニンフにそんな気は毛頭なし。
ニンフは自らにハッキングして強化した自爆用爆弾で皆道ずれに核を破壊したのだった…

こしてアストレアに続きニンフも死亡… 空のおっさんは物語シリーズの復活した初代怪異殺しのような感じだったけどいい気味だな。
ていうかニンフまでこんな感動的な走馬灯まで見せて殺してしまうなんて…
ニンフの自爆のおかげで空への道が開けた智樹はイカロスにシナプスまで連れて行くように命令した。だが、イカロスにはかつて暴走したときの反省を活かし許可なくシナプスに近づくと燃えてしまうという自爆装置が備わっていた…
智樹を運びながら翼が燃え上がるイカロス。イカロスという名前は皮肉なものだね…

イカロスはまだ生きているが、智樹を運び終わるころには燃え尽きて絶命してしまうんだろう…
クライマックスだけあって怒涛の展開だった。アストレアのカオスとの心中やニンフの渾身の自爆、そしてイカロスの捨て身の運搬任務どれも感動的だったが、たった1巻の間に3人もメインキャラが死亡するなんてえげつない展開だ。
こすもすの物語で守形が使っていたカードはイカロスの形見とかなのかな。
ほぼ全てといっていい戦力の虎の子の三人娘を失い智樹たちはシナプスの問題とどう決着を付けるのか最終巻が待ち遠しい!
個人的な評価★★★★★
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