講談社 (2020-03-09)
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ヒロインは絶望しました。 1巻 感想です。
ある日突然カバンの中に入っていた女児向けアニメに出てきそうなコンパクト。このコンパクトのアラームが鳴ると女子高生「
渋谷明」は異世界に転移してクマの怪物に殺されるという日常を何度も繰り返した。

四肢を砕かれ内臓も破壊され痛みと苦痛と恐怖の中死亡して気が付くと現実の元の場所に戻っているという地獄の日々を送っていた。
JKが何度も無残な死を繰り返す序盤は非常に絶望的だった。これがタイトルに冠する「絶望」かと思ったら違った…
何度も異世界での死を繰り返して精神的に疲弊したヒロインは遂には現実世界でも死を選ぼうとしていた。
そんな時出会ったのがクラスのぼっちなオタク少年「
秋葉くん」
この秋葉くんは謎のコンパクトが女児向けアーケードゲームのグッズで自分もそのゲームが好きだと語り、明の異世界転移にも一緒に巻き込まれてしまった。
ところが秋葉にとっては勝手知りたるゲーム。アーケードのゲームのような操作装置も現れ、ヒロイン明を魔法少女のような姿に変身させることに成功。


変身すると身体の操作は本人ではなくパートナーの秋葉に完全に支配されるが、熟練者の秋葉の操作は見事なものでこれまで幾度も殺されてきたクマの化け物を初めて撃破して生きて現実世界に戻ることに成功した!
こうして秋葉少年の活躍により再び明に幸せな日常が戻ってきた……かに思えたが、この異世界転移の死に戻り現象は一度だけではなかった!
だから再び秋葉に助けを求める明だったが、秋葉は助ける代わりにパンツを見せろを要求。

秋葉は善人ではくヒロインの弱みに付け込み性的要求をする最低のクズ野郎であった…
こうしてヒロイン明は死の苦痛と女性としての尊厳を天秤にかけなければならない絶望の日々が始まってしまった。
最初に秋葉が活躍したときの尊敬の念を返せって裁判起こしたいくらいどんでん返しの展開で面白かった。あわよくばクラスの人気者のヒロインと根暗少年のハートフルストーリーに発展するまであると思ったのに!
明はこんなクズに頼らずともと考え、同じアーケードゲームのユーザーなら転移可能であるところまで突き止め、頼んで迫りくるクマの化け物退治を依頼した。
ところが、秋葉以外のプレイヤーではレア装備と技術が無いため敗北してまた死を繰り返す日々に逆戻り…
しかも中途半場に防御力がある変身姿だから死にたくてもなかなか死ねない地獄の時間も味わうことに…

秋葉は全国ランカーであった…
明は大口叩いて秋葉を拒絶した手前、さらに弱みを握られ結果的に秋葉に土下座で助けてくれることを懇願することになってしまった…

異世界では身体の操作を秋葉に奪われるが、服を脱がすなどのことは仕様上不可能だったのが多少マシなくらい最悪な展開だね。
秋葉の奴隷のようになってしまった明は異世界でも主導権を握られてしまった。身体の操作権が無いために秋葉に対して奴隷のように接しないと敵の攻撃をガードしてくれない。
言葉遣いに気を付け何とかクマを倒してもらったお礼に服を脱ぐことになりそうだったところを教師が現れ今回は何とか手を舐めるだけで済んだのだった。
ほんとひどい展開だけど絶望するヒロインの周りが秋葉以外はいい人ばかりで泣ける。
周りの温かい言葉に励まされ、明は死んだ方がマシな命令なら潔く死を選ぶと秋葉に宣言して秋葉もそれを承諾。一線を越えない命令でも秋葉にもメリットはあるからかな。
次に転送され目の前に居たのは同じく人間の二人組。クマの化け物はチュートリアル専用で、今回からは対人戦となるようだった。
相手も人間でやらなきゃやられるという仕様。
秋葉は相手の少女が変身する前に操作プレイヤーを攻撃するというサイコな作戦で挑むもそれは仕様上禁止されていた。こういう展開なら頼もしいけど本当に悪の思考だ。
止む無く普通に戦闘するがランカー様は強く、相手の少女はフルボッコ。当然死の苦痛も味わっていて身体を自由に動かせない明には人を殺める感覚だけが重くのしかかることに…

秋葉ほんと外道。
相手少女を殺め、その操作プレイヤーにも止めを刺したところでゲームは終了し現実世界に戻された。
人を殺めてしまい精神的にバランスを崩している明にも秋葉は容赦なく命令を下した。
今回は生意気な口答えをした罰にお尻ペンペン100回。しかも回数を自分で数えさせる鬼畜。

最後は別のペア同士の戦いも描かれていて、そこで残機という概念があることが明かされた。死んでも復活できる回数には制限があるらしい。

秋葉はどうせ復活するからとこの殺人ゲームを本当にただのゲームとしか考えていないが、これを知っても変わらなさそうだな。
そして死んだ方がマシな命令には従わないと宣言していた明には悲報で本当に死んでしまうならその限りではないのではないだろうか。
弱みに付け込まれ、サイコパスな外道の屈辱的な命令に従わざるを得ないヒロインの幸せを祈らざるを得ない物語だった。
個人的な評価★★★★☆
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