松 智洋 StoryWorks
集英社 (2017-02-24)
売り上げランキング: 2,327
メルヘン・メドヘン 1巻 感想です。
故・松智洋先生が原案を練り、松智洋先生が創設した創作集団Story Worksの門田祐一先生がその意志を継いで出版された新作ラノベ。パパ聞きや迷い猫、はてなイリュージョン、そしてこの作品、改めて惜しい人を亡くしたと感じた。
この物語はハリーポッターやリトルウィッチアカデミアなどを彷彿とさせる内容だった。
母を失い、父の再婚相手の義理の母とその娘である義理の姉と暮らす読書好きで妄想癖が激しい少女「
鍵村葉月」。
父はあまり家に帰ってこなく、彼女の家庭環境はまるでシンデレラみたいだけど、義理の母と姉は普通に良い人で温かな環境だった。むしろ問題があったのは葉月の方で、読書が好きすぎて変人に思われているため学校では友達が一人もいなかった。
葉月はある日自宅の実の母の形見の中から大きな本を見つけたのだった。
これがこの物語における重要アイデムでハリポタなら魔法の杖と言ったところ。「原書」と呼ばれる魔法の本。これが無ければ魔法が使えない。彼女が偶然手にしたのは「シンデレラ」という激レアな原書。
この物語の魔法使いとは物語をモチーフにした原書を使ってそれぞれ独特な魔法使いとしてのコスチュームに身を包み魔法を行使する存在だった。原書の物語が有名なほど強いというのはFateにおける英霊に似ている。
葉月は町で偶然見つけた同い年くらいの魔法使いの後を付け、たどり着いた場所が「
クズノハ女子魔法学園」という魔法学校だった。表の世界にばれないようひっそりと東京都千代田区に存在する文科省公認の学校といのもホグワーツっぽいw
あと女子高ってのはラノベらしくていいね。男キャラはモブ程度にしか登場しなかった。
表の世界の住人が突然魔法使いの学校にやってきたことで全裸になったり色々トラブルは発生するも、これまで自分が妄想してきたような世界観に大興奮。
シンデレラという貴重な原書を持っていることもあり、正式な転校前に表の学校が終わったあと体験入学をすることなったのだった。
そのお世話係が魔法使いの名門の家の娘でトップエリート、日本最古の原書「かぐや姫」を持つ「
土御門静」だった。キャラクターはAqours加入前のしっかりしたダイヤさんみたいな感じ。ですわ口調。
静は現在、他の外国にある魔法学園との伝統的な魔法による戦い「
ヘクセンナハ」の代表メンバーの選出に悩んでいた。優勝候補である日本校がメンバー不足で出場国決定戦に出場すらできない可能性がある瀬戸際で、そんなときに現れたのがシンデレラなんていう強力な原書を持つ葉月。
メンバーとして利用するため後ろめたさを感じつつも静は葉月に魔法の基礎を指導していた。葉月も葉月で一生懸命教えてくれる静に対して、へっぽこな自分に後ろめたさを感じていた。
1巻はそんな二人が友達になる物語だった。
すれ違ったり、魔法使いへの道を諦めそうになったり、試合でへっぽこだった葉月が覚醒してチームを勝利に導いたりというのは王道中の王道で安心して読める内容だった。ちなみに女の子同士のまともな友情で良かった。最近百合っぽい作品も多いし。
日本校と突然現れたシンデレラを持つ葉月の存在を注視する各国の代表メンバーも個性的で勇ましい。一番のクールキャラっぽいドイツ代表が一番可愛い性格してるのも面白かった。
また葉月は原書の物語のシンデレラを改変するなんて謎の技術を披露したり、才覚はあるようだった。基本中の基本の魔法が出来なかったと思えば、偏った難易度の高いことをやってのけたり、魔法学校の劣等生と見せかけて評価されないところでは天才なのかもしれない。
無事ヘクセンナハトへの出場枠を手にした日本校の代表たち。これからの物語はこの大会でのバトルになるのか、原書の持ち主を道具を見なし原書至上主義な腐敗した魔法使いの世界とのいざこざになるのか、原書を腐食する「シミ」という存在との何かになるのか伏線は豊富にあり2巻も買おうと思う物語だった。
個人的な評価★★★★★
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