都乃河勇人
KADOKAWA/エンターブレイン (2016-08-30)
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Farewell,ours 夏の僕らは瞬きもできない場所へ 感想です。ネタバレに気にせず書きます。
作者も絵師もどちらも泣きゲー大手のKEYの作品を手掛ける大物。その二人が描いたラノベは予想していた通り感動系だった。1巻完結で分量はあとがきによるとゲームにおける共通ルートくらいだそうだ。
物語の雰囲気はKEYのゲームをそのままラノベにしたような感じ。頭のユニークなヒロインや愉快な男友達、そして物語の根幹に関わる壮大な世界の秘密などなど馴染み深い設定が盛り込まれていた。
高校一年生のヒロインの「
湖美」が主人公の「
壮太郎」を誘い、中学以来思春期のあれやこれで疎遠になっていた幼馴染たちを誘って昔作った秘密基地をまた作ろうともちかけるところから物語は始まった。
馬鹿だけどどこか頼もしい「
遼平」や道化っぽいけどムードメーカーで元気な女の子「
樹希」のメイン4人に加え秘密基地建築の知識を持つ先輩の「
懐(きたす)」を加え夏休みを利用して建築は始まった。
色々苦労しながらかつてのように仲良く秘密基地を作るところは良い友情物語で、リトルバスターズのようだった。
だが順調に建築する日々をこなしながらも主人公はおかしな夢を見たり、世界の異変を感じつつあった。病院に行こうと思ったら永遠にたどり着けなかったり、あるはずの場所に建物がなかったり、遼平が丸1日音信不通になっていきなり戻ってきたりなどなど。
ヒントはいっぱいあったけど、最後まで世界の秘密は気が付かなかったな。
主人公が世界の秘密に気づいてからは全てが納得いく展開だった。そして元々世界の秘密に気づいていながら普段通りにしていた樹希の行動にも納得。この子は道化に見えてかなりまっとうな子だった。最初のシスコン描写さえ少し涙ぐむ。
この世界を作り上げたある人物の願いや、それに気づき世界崩壊後にすぐ失うはずだった記憶を必死で維持しようとした主人公の行動が泣き所だったが、惜しいことに分量が少なかったかなぁ…
全てを知った主人公が奇跡的に記憶をとどめていて次どうなるんだと思ったら、エピローグに入り物語は完結していた感じ。
もうワンアクション奇跡が欲しかったが、最後にある人物を除く3人が疎遠とならず一緒にいるところで終わりよければ全て良しと感じた。あの世界は製作者以外にとっても無駄ではなかったということだし。
物語の雰囲気は全体的にリトルバスターズに似ていると思った。
個人的な評価★★★★☆
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