筒井大志
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
田中ロミオ原作の漫画 ミサイルとプランクトン 1巻 感想です!
とある高校に新設されたミサイルを作る「
ミサイル部」。飛んでも部活系物語かと思ったら、後々ミサイル部が合理的な部活であると物語の秘密と共に明かされる中盤の驚きが大きい物語だった。

部活でありながらヒロインの「
達子 祥(さち)」が超エリート校の生徒だと説明され、部員たちがそれぞれ違う学校の生徒だと匂わせたり最初意味不明だったが、それも一緒に明かされた。

実は祥は片想いの相手で主人公の「
青海翔太」の隣にいるために、翔太と同じ学校の生徒だと偽っていた。本当は底辺高校の中でも底辺な偏差値だったw

ヒロインはもう一人いて、それが不思議キャラの「
恩田美登里」

しかしこの美登里こそ翔太の本命であった…

悲観的な関係だね。一方通行の矢印が二つかw しかも一人は恋愛感情なんてわからないキャラ。こりゃ祥には大きなストレス源だな。
この世界は「
妖星」と呼ばれる宇宙から突然落下してきた悪意の塊が、地球に衝突直前で時間停止により止まった世界だった。

時を止めて地球を隕石から守ったのは美登里。美登里は大きな力を使った代償で心を壊し不思議ちゃんになっていた。
時を止めたことで地球はなんとか守られているが、同時に人類も一緒に停止してしまっていた。この世界で自由に活動できるのは美登里と同じく超能力を操れる人間だけ。翔太はテレポート、祥は千里眼。
だから違う学校の生徒が集まって部活を作り、妖星を破壊できるミサイル建造をすることもおかしくなかった。
この設定が明かされるのが中盤で、ここまで読んでやっと府に落ちるのと同時に引き込まれ、稀に見る面白い漫画だった。
絶望的な世界だけど、翔太はミサイルを作らせることで人類に希望を与え、カリスマ性を発揮する頼りになる男だった。
だけど、祥の前では自身もこの状況に心を折られていて、美登里が正気に戻ることだけに希望を持っていることを感情丸出し明かし、頼れる部長の顔と本当の翔太との差にびっくりさせられた。一見情けなく思えるけど、とても人間らしくて面白い。

本当に心が強いのは恋する祥なのかな。
美登里は心を壊してもまだまだすごい超能力が使えたが、それでもまだまだらしい。祥が美登里に並ぶにはこれくらいのことができなきゃいけないと考えているが前途多難のようだった。

おかしくなった世界でも恋をする登場人物たちの感情丸出しの姿が面白い作品だった。この望み薄な世界が今後どうなっていくのかも気になるストーリー。プランク時間とか量子力学的な世界感も気に入った!
帯コメントはニセコイの古味直志先生が寄稿していて、巻末にも描き下ろしのニセコイとミサプラのコラボイラストが掲載されていた。

ジャンプ+でこの作者がニセコイのスピンオフを連載しているからか。
個人的な評価★★★★★
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