盤上の詰みと罰 1巻 感想です。
17歳にして将棋で六冠を達成した女流プロの「
霧島都」は、ある対局をきっかけに記憶が一ヵ月ごとにリセットされるようになってしまいプロを引退。それから5年の歳月が経ち、59回目の記憶リセットが起きたところから物語は始まった。

都の記憶リセットがリセットされる発端となった対局は野良将棋で対戦相手は不明。だから都は自分をこんな状態にした対戦相手ともう一度対局するために、恋にも似た気持ちで5年間何度も記録をリセットしながら日本中旅をしてずっと探していたのだった。

実年齢は22歳だけど心は17歳のままだし、服装も学校の制服姿だからすごく瑞々しい“少女”のような主人公だった。
将棋を指すことが本当に好きで、目を輝かせる姿は17歳よりも幼く見えるw

記憶を失うハンデを背負っていても、一ヵ月かけて全国を旅しながらそこで出会った人たちと将棋を指し、その将棋を通してその人と対話するドラマチックな物語展開だった。
5年間ずっと都に憧れる少年との出会いは、都にとっては「初めまして」だけど、少年にとっては何度も出会って対局した関係。
記憶をまた失ってしまうことはわかっていても、それでも覚えていて貰おうと必至で挑む少年の憧れと恋心が微笑ましかったw

旅先では現役時のライバルであり友人でもあった「
屋久杉歩」とも再会。

ライバルとは言え歩より都の方が圧倒的に強く、歩はそのことに劣等感を感じていたかに見えたが、挑みたい目標兼ライバルであり同じ世界を生きる友であった都を失った彼女の本心はもっと別の感情で、これが残された者の悲しみなんだなと思った… 都は包容力のあるお姉さんタイプだったんだな…
旅は続き、ここまで都は出会った人との対局で元女流プロとして大人な対応をしてきたが、大阪で出会った「
高月社」は舐めプが通じない相手であった。
初戦で試すような舐めプをした都に呆れ一度対局を流し、再試合では都も舐めプを侘びて本気の試合。
本気の都は優雅なお姉さんキャラから一転し視線だけで人を○せるよな表情で、対戦相手に心臓を抉り取られるような印象を与えるくらい凶暴だったw 視線がクール。


こんな都が負けた上に記憶障害になるほどショックを受けた相手ってのが本気で気になるわ。
将棋をコミュニケーションツールとして旅先で出会う人たちと紡ぐほんわかとした物語があったと思えば、ガチバトルがあったりと緩急の付いたストーリーで面白かった。
ちなみに将棋のルールは知らなくても読める。どちらかと言えばルールより戦法の方を知っていた方がより楽しめるかもしれない。
個人的な評価★★★★☆
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