原 つもい
KADOKAWA (2018-07-26)
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この島には淫らで邪悪なモノが棲む 9巻 感想です。
エロティックな風習が残る田舎の限界集落を舞台としてサスペンスものだと思って読み始めた本作も、UFOなどSF要素も登場して創大な様相を呈する展開となりついに完結巻。
ここまで語られなかった物語の謎の説明のためか、読者が期待しているシーンはこれまでよりはやや控えめ。
でもカラー扉絵は綺麗だったし、挟めるところにはきちんと挟んでくる「淫ら」なシーンは本作の見どころと言えよう。

さて現在の時間軸で火炙りで処刑されようとしている一郎太。身体を奪われただけの主人公にとっては災難でしかないし、まさかこのまま最後まで主人公本来の人格が登場しないとは思いもしなかった。
現代に蘇った一郎太がここまで恨まれているのは、かつて敵の大群が攻め込もうとしている中、民と星を犠牲にしてでも愛する人の蘇生を優先しようとしたからだった。一見病んでしまっての行動に見えるけど、元々サイコな性格な気がしてならない。

最後まで創造主である一郎太を信じていた村長にしてみれば自分たちを使い捨ての玩具のように扱うのには激おこだろう。

かつての一郎太の最期は村民と地球を犠牲にしようとすることを良しとしない姫長の手引きにより、敵将に打ち取られるというものだった。

姫長的には苦渋の選択であったからこそ、現在の時間軸で火炙りにされそうな一郎太を守ることに必死であったというわけね…
姫長の思惑通りに行きそうな中、このタイミングで突然姫長のボディとなっている人格が目覚めてしまった。しかも狂気に満ちていて、だからこそ自らを拘束していたらしい。

ほんと突然でどうしてこんなタイミングでって感じだったけど、こんな状況だからだろうかね。特に説明はなし。
シリアスなシーンでも女性陣が乳房をさらけ出しているがそんなに気にならない。
身体の主導権を取り返された狂気モードの姫長はそのまま目的を果たすことなく、被害を抑えるためについには討ち取られてしまった…
姫長は報われないし、ここまで被害甚大で一郎太もさすがに精神的に消耗しているようだった。
しかしそんな一郎太を助けに来たのは1巻からの正ヒロイン ハルさん。しかもその正体はかつて民や星を犠牲にしようとしてまで助けようとしたマハさんであった。
精神ズタボロの一郎太に甘くて優しい言葉をかけ全てを包み込む暖かさにバブみを感じるねw

ハルは物語開始当初から中身はマハであった。生命維持装置に繋がれたままただ生きていただけだったマハはカルマ落ちしたハルのみが話し相手であったそうだ。そんな中ハルは10年間の身体のレンタルを提案し、ハルの身体を借りたマハは現世を楽しんでいた。
10代の10年間をプレゼントとかハルの本来の人格もだいぶおかしくなっていたんだね。
そしてハルがマハの肉体と一緒に死亡していたのは未来を信じていなかったかららしい。この物語で一番可哀そうなのはハルかもしれない。

マハに助けられた一郎太は一緒に宇宙に旅立った。その後村がどうなったのかわからないし、前述の通り主人公が登場することはなかった。主人公だと思っていた人物はあくまで一郎太の一部でしかなかったのかもしれない。
最後は愛し合う二人で、この物語を表すぴったりな一コマだったと思う。
個人的な評価★★★☆☆
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