仲村 ユキトシ
角川書店 (2013-11-25)
ハイスペックな妹に対し姉はコンプレックスを抱く、仲が悪い姉妹「
汐ノ宮綾音」と「
胡桃」。

パンツの奪い合いをする二人には
ゴーストと呼ばれる特殊能力を持っていた。
姉の綾音はスコア7の「
靴紐を操る能力」という可愛い異能w 妹の胡桃は姉より上のスコア11の「契約した物体を動かす能力」というやや強力な力。

二人の父はゴーストの研究者で、二人の娘にゴーストの力が備わっていることは秘密だった。
ところがある日、胡桃はどこから漏れたのかゴースト持ちということで誘拐されてしまった。
犯人の男は誘拐した娘の耳を削ぎ落してコレクションするというイカれた人物で、しかもゴースト持ちでスコアも35で胡桃よりも格上の相手。

このままじゃお金持ちに売られて酷い目にあってしまう。そんなとき、やってきたのは姉の綾音。仲が悪い描写がここまで多かったけど、実は互いに大切に思っているということが明らかになったw
しかも妹に対してスペック的に劣り、せいぜい近所のチェス大会で4位だったという綾音は、実は近所のチェス大会の正体が世界大会で一気に株を上げたのだったw
こうして、スコア7の靴紐を操る能力VSスコア35の触れた鉄を溶かして操る能力の対決が始まった。
格上にも程がある相手に、勝つための無数のパターンを持ち前の頭脳で並列計算して靴紐を操る能力で勝負するバトルが面白かった。

ゴーストの効果を聞いただけじゃバカにしてしまいそうだけど、靴紐の定義が広くて靴の穴に太くて長いケーブルを通してもOKで実質ロープ使いのようなバトルを繰り広げていた。
しかも先読み能力が著しく高いから非常にやっかい。
圧勝だった。
このゴーストは身体に刻まれた印を触れ合わせて「交換(エクスチェンジ)」と言えば相手の能力と交換できて、綾音は犯人からスコア35の触れた鉄を溶かして操る能力を手に入れたのだった。
次に狙われたのは二人の父だった。
相手はスコア8800「引力と斥力を操る」の人類最強の男。自らのゴーストを詳しく説明してくれるのは強すぎるゆえのことだろう。

高層ビルをひねり潰せるほどの力に、新しく手に入れたスコア35のゴーストを使って先読みしてもどのルートも死亡ルートしか見えなかった。
苦肉の策で重傷の父をその場に残し姉妹で逃亡するが、すぐに追いつかれてしまった。男の目的は姉妹を誘拐して何かしらの目的のために生贄にささげることだった。つまり捕まったら死亡。
ただし生贄は一人でいいらしく、男はスペック的に後々やっかいな綾音を狙った。ところが妹の胡桃は自らが犠牲になることで姉を逃がしたのだった。
最初の喧嘩シーンとか仲の良さの裏返しにすぎなかったんだな。姉妹愛を感じる。
妹を犠牲に姉は父の元まで逃げおおせた。ところが予め男が仕組んでいた引力により、綾音の手は父の首に引き寄せられてしまった。もちろん抵抗は不可。
娘に父を殺させるとか鬼畜すぎる…

妹の生贄までは若干の余裕はあるものの、愛すべき父は自らの手で死亡…
ゴーストなんて概念を知らない警察からは殺人犯に見られるし、なんと苦境なんだろうか。いきなり壮絶な展開だった。
ただ、ここがどん底でスタート地点なんだろう。現在スコア35だが、ここから「交換(エクスチェンジ)」をしまくってのリベンジが始まるようだ。
能力が固定的じゃない能力バトルってのが新しいじゃん。常に更新されて強くなっていくというわらしべ長者。
スコア8800に匹敵する人物が他にいるのかは定かではないが、どんどんインフレして頭脳戦含め熱いバトルを繰り広げて欲しい。
個人的な評価★★★★☆
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