千田 衛人
スクウェア・エニックス (2014-01-22)
なぜこの作品が打ち切りになったのか理解に苦しむ。面白かったじゃん。打ち切りで2巻という短い連載期間ながら終わり方も自然で綺麗だったし、本当に惜しい。
卒業式の日に主人公「京輔」が自殺してしまうという未来を変えるために、高校三年間を何度もループする幼馴染「ちひろ」の繰り返しているからこそわかる意味深なセリフが健気に同情心を煽られる。

三年間の準備が徒労に終わり、再び同じ三年間を繰り返す精神的疲労は計り知れない。
京輔の自殺の原因は高校生活を無駄に過ごして後悔しているからと考えた ちひろは、ここぞというときの選択肢に介入して京輔をリア充な方向へ導いて行き、目論見通り事は進んだ。
京輔も新たなヒロインと小さなループを経験して新密度を上げて行き、何度も繰り返すうちにハーレムは大きくなっていった。
そして主人公の口から高校生活を満足したという言葉が出たときは感動すらするw

さらに時は進み運命の卒業式。なんと京輔の自殺を止めることについに成功した!
これでハッピーエンドかぁ…打ち切りで尺が足りないなら打倒なところだろうな、と安心していたら次の瞬間、今度はちひろが老朽化した手すりが壊れて屋上から落下して死亡…

今度は京輔が ちひろを救うためにループして ちひろの事故死を阻止することに成功するが、そうすると今度は椎名が車にはねられ死亡。

以下一人を助けるとまた別の誰かが死ぬの繰り返し…
最後の最後で鬱展開すぎるだろ… これ…
絶対に誰か一人死んでしまいヒロインたちを救うことができないならと京輔が取った対策が自殺なのだった。自分が死ぬことで他のヒロインは全員助かるルート。

マジかよ! まさかこんなオチだったとは… バッドエンドではあるが美しく、しかもあっと驚くオチだ。これまでのページはこのときのためにあったんだな。すばらしい演出。
主人公がループしてヒロインたちを助ける話だと思ったら、もっと大きなループでメインヒロインが主人公の自殺を食い止めようとする話で、さらにその主人公の自殺そのものにも秘密があるという一体何重底の物語だよw 大変面白かった。
だが、自分が人柱となって自殺した主人公の死亡回避を願う幼馴染みの戦いはまだまだ続くようだ。

はたしてこの世界にシュタインズゲート世界線はあるのだろうか…
作者の次回作に期待。
個人的な評価★★★★★
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