鎌池 和馬
KADOKAWA (2017-05-10)
売り上げランキング: 10
新約 とある魔術の禁書目録 18巻 感想です。
今回は盛大な伏線回収とネタバレ回で、上条さんたちと旧約1巻からの黒幕アレイスターとの決着の物語。
土御門たちは前回の続きから上条さんを盾に学園都市からの逃走を図るも、アレイスターの呪詛によって舞夏の胸に黒い短剣が突き刺さってしまう。
しかも幻想殺しを使ってしまうとその破片によって命の危険にさらされてしまうという代物。放っておけばそれを指標にケダモノが永遠に召喚され続け上条さんたちを襲う仕様。そのケダモノも幻想殺しを使えばその業が降りかかりどんどん「考えが縛られる」という症状を担うようだった。
正直、今回の物語に出てくる設定は理解が難しかった。作者の頭の中を完全には理解してきれていないから、ここに書くレビューにも嘘や間違いがあるかもしれない。
さて、そういうわけで上条さんたちがこの呪詛を解くために窓のないビルを地下の空洞から登りアレイスターを目指すという物語だった。
登るのも一苦労のビルの中、上条さんに接触してきたのはかつてアレイスターが所属していた魔術結社の創始者の妻である「
ミナ」という女性。ただし認識できるのは上条さんのみで、ミナによってアレイスターの人生が語られた。
アレイスターの人間らしさが全面的に描かれていて、彼もこれまでの敵同様普通の人間だったという印象を強く持った。
かつてアレイスターは世界最大の魔術結社「黄金」の創始者に認められ結社に入団して活動していた。しかし将来生まれる子供が死亡することをカードによる予言で知ってしまった。
その原因は簡単に言えば等価交換らしい。魔術は世界を騙し1の対価で10を得ているが、本当に世界はだまされているのかという話。
そんな魔術の副作用を創始者たちは知っていたが、アレイスターも含め加護されていたから放っておいたそうだ。だけどアレイスターにはそれが許せなかった。これがそもそもの魔術を滅ぼそうとする原因だった。
彼は未来で子供が死亡するのを悲観し組織を破壊。その戦いの描写でさらっと幻想殺しの正体と製造目的が解説されていたのは面白かった。とある聖人の遺体を使った矢で、その聖人とは誰なんだろ。
そして未来で生まれた子供には親バカな姿を見せたり、実は下ネタ大好きな人物だったりと俗物的な姿は意外性があった。
「法の書」はこっくりさん感覚でエイワスの言葉を記したものだとも明らかになった。だから別にアレイスターの成果ではなかったw
上条さんは不幸体質だが、アレイスターも相当であった。魔術世界を滅ぼすために自分からその道に進んだが、敵を不幸にするための代償として自分不幸体質になったようだった。
学園都市で科学を発達させたのも魔術を滅ぼすため。
学園都市が度々ネタにされるほど治安が悪く、上条さんが事件に巻き込まれるのも上条さんの幻想殺しを活躍させるために意図したものだった。
治安の悪さがネタじゃなかったのが驚いた。
エイワスとの対決では上条さんの腕から再び何かが登場。しかしエイワスをそれを掴むという離れ技で完封していた。
そこを助けたのがミナ。ミナはアレイスターが作った計画の検証のための人工知能だが、まさかの主へ反逆。しかも人工知能にして魔導書の原点だったから強い。
ミナの登場に驚くアレイスターの挿絵があって面白かった。
また上条さんたちとは別サイドで美琴と操祈のエピソードもあって、仲の悪い二人には珍しい百合描写もあった。
でも上条さんのためなら協力し、A.A.Aの基幹を解析をしていた。意味のない電子回路だけどそこに魔法陣のような意味を見つけて、解析すると「神浄討魔」の言葉を発見。しかも窓のないビルから電波を受信しているとのことで装備して出撃もした。
一方通行が地球の自転エネルギーを使っても破壊できなかったビルを、超電磁砲を心理掌握の応用で強化して破壊できたのはぜひアニメーションで見たいと思った。
様々な助っ人により追い詰められたアレイスターはついに上条さんの拳を受けることになった。呪詛も無事解呪された。
倒れたアレイスターに止めを刺したのはローラ・スチュアート。
女狐っぽいキャラだからここでの登場は不思議ではなかったが、彼女の正体はかつてアレイスターが滅ぼした「黄金」のリーダーが召喚した天使と対を成す悪魔で、術者が死亡した今も最初の契約にしたがってこうしてアレイスター抹殺に現れたそうだ。
ちなみにローラのボディはアレイスターの二人目以降の娘のもの。父親に助けを求めていたところを乗っ取ったらしい。実に悪魔的だった。
契約を完遂し自由になった悪魔だったが、アレイスターはしぶとかった。ifの可能性分自分を細分化していて、一人が死んでもまだまだ可能性は残っていた。億レベルで。フィアンマを倒したのも分身の一人だった。
でもどうやらアレイスターの分身は個性がそれぞれ違うようで、上条さんを救ってくれた個体もいたし、次以降の話だな。
学園都市はローラの手に落ちが、イギリス清教圏内はアレイスターの手に落ちた。
イギリス清教のボスが人ならざる者で、アレイスターは大量に分裂。大きな山は越えたが次はまた世界を相手にするんだろうか。
こんな状況の中、レベル5の残り一人が活躍できるかも心配。
アレイスターの人生や学園都市が作られた訳、幻想殺しの元の姿などネタバレ豊富で読んでて胸が高鳴る巻だった。
個人的な評価★★★★☆
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