鶯 神楽
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-09-24)
2015年、hiEと呼ばれる人型アンドロイドが人間社会に入り込んで、人間の代わりに家事をしたり店番をする世の中になっていた。車のような感覚で一家に一台hiEみたいになっていた。

そんな便利になった時代に生きる主人公
アラトはたかが道具でモノであるhiEに感情移入していた。この世界ではhiEは喋る自販機と同じくらいのレベルの道具にすぎないのだろう。
ある日アラトが夜買い物に出かけると、謎の植物みたいな生物が雨のように降ってきてご近所のhiEや機械類を暴走させた。

それに巻き込まれたアラトが助けを呼ぶととこからともなく謎のhiEが颯爽と現れアラトを助けた。

このhiE
レイシアはなぜか持ち主のいない無人機で、アラトにオーナーになってくれと契約を迫ってきた。アラトは戸惑いながらもレイシアと契約をしてオーナーになったのだった。
設定として、hiEのオーナーはhiEの行動の責任を持たなければならず、裁判などで情報開示を求められたらhiEはオーナーの上場を開示するそうだ。
自分の持ち物例えば車でもそれで人を怪我させたりするとやっぱり持ち主が責任を負うわけで、その辺りは本当に機械的だなと思った。
それなのにこんな兵器っぽい武装を装備しているとか使い方は間違えないようにしないとね…
こうしてアラトとレイシアは妹と共に共同生活が始まった。レイシアはオーナーを不快にさせないようプログラミングで相手にあった行動や発言をしたりしていて、とても機械的だった。ホライゾンみたいだった。
こういう謎のロボットと出会う系の物語ではたいてい製造元不明だが、この作品ではその辺りがはっきりと明示されていて新しかった!レイシアはとても高級なhiEだと判明したけど、なぜそんなhiEがオーナー無しで町にいたのは不明だった。きちんと一般のhiEのように家事もできるしさ。中途半端に情報が明かされているとかえって謎を呼ぶねw
そして高級ゆえにhiEのモデルオーディションでグランプリを取り、モデルとしての仕事も始めた。形式上はオーナーが仕事をするという形らしいが、車で例えるなら、個性的な愛車を有料で展示会に貸し出すような感じだろう。

モデルとして世間から注目を浴びるレイシアにアラトは複雑な思いを抱いていた。そんなアラトにレイシアは優しい言葉を掛けるが、やっぱりアラトはそれを魂のないプログラミングから来る言葉だとわかっていてもhiEをモノではなく人として扱うんだろうね。
巻末にはエピソード0のような物語が収録されていた。
どうやらレイシアと他4体のhiEが何らかの研究所から爆発事故により流出したようだった。

1巻はほぼ世界感の説明とレイシアという存在の説明で終わってしまったが、今後はもうちょっと掘り下げたキャラ紹介もあるのかな。
レイシア含めhiEは家政婦ロボットみたいな感じで、こんな可愛いアンドロイドが家に帰ったら美味しい料理を作って待っていてくれるなんてすごく理想的な世界だ。
人間たちも見た目では人間とHieの区別がつかないようだから、絶対間違った使い方をする人がいるだろうよw
レイシアという存在の謎の他、主人公のがフラッシュバックしている悲惨な過去や、そこに登場するやせ細った友人、hiEの研究している家に帰らない父親、hiEが破壊されまくる事件など今後物語がどう展開されるかワクワク感のある物語だった。
個人的な評価★★★★☆
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